まだ結論付けるのは早いでしょうけど、新コロナの経済的な影響については、大規模自粛&世界中鎖国状態では今後コロナ大不況が来るのは間違いないでしょう。となるとマンション価格は下がる?
ええ、私は下がると思います。それではどれくらい下がるのか?
前回の大不況だったリーマンショックの時、その前のバブル崩壊の時、マンション価格はどうなったのでしょうか?歴史を紐解いてみましょう。
こちらは国土交通省が出している不動産価格指数のデータです。2008年4月からのデータが公開されています。南関東圏の区分マンションについて抜き出してグラフ化してみました。
国土交通省・不動産価格指数 南関東圏の区分マンションデータ(2008/04-2019/12)2012=100%
なるほど、2008年にきれいに下がっていますね。
しかし実際にはリーマンショックの前にサブプライム住宅ローン危機があり、2007年末くらいから市場は怪しくなっていました。国土交通省提供のデータは2008年4月からしかないのですが、似たようなデータを算出・公開している「不動研住宅価格指数」は、2007年のデータも入ってます。
不動研住宅価格指数 東京中古マンション価格指数(2007/1-2020/1) 2000/1=100%
不動研住宅価格指数によると、2007/10に94.90を付けたのがピーク。そこから2009/6までに81.11と実に14ポイント近く下がっています。1年半でリーマンショックによる中古マンションの「暴落」幅はこれくらいだということです。不動産価格指数より、不動研住宅価格指数の方が、東日本大震災からの2012年初の不況の影響を如実にとらえています。ここでも、2010年頃に一時的に回復した中古マンション価格は、10ポイント下がって2番底をつけています。2012年末からはご存知アベノミクスが始まり、資産インフレが開始しました。
あの2009年頃を思い出すと、一部の新築マンションは14ポイント以上下がりました。一番下がったのは、はカタカナ系デベロッパーが飛びそうになった時。現金化を急いで20%、30%といった値引きもあったと聞きます。私が最大聞いた値引き幅は33%でした。カタカナ系デベロッパーだけでなく、値引きは一部財閥系でも行われました。損切り判断だったのでしょう。
今回もコロナで集客が壊滅状態になったら、、、もしかして同様の事があるかもですが、その保証はわたしはできません。少なくとも財閥系デベロッパーの財務基盤は強化されていて、在庫を急いで解消するほど焦ってはいないと仄聞します。しかし、相変わらず自転車操業の中小デベ物件は事情が違うかもしれません。財閥系の新築マンション販売寡占率はしょせん5割以下なのです。
なお、湾岸の中古物件の価格動向について私はこの時代をモニタリングできていないので正確には語れないのですが、不況よりも震災のイメージダウンの方が大きかったはずです。中古マンションは短期間に10%の値下がりがありました。勢いが回復したのはオリンピック開催の発表があってからです。
さて、直近の不況期の分析はここまでにしておき、その前のバブル崩壊では、マンション価格はどうなったのでしょうか?不動産経済研究所が首都圏マンション価格推移を発表しています。1985年から抜粋してみました。
不動産経済研究所 首都圏マンション価格推移(1985-2019)
こうみるとバブルの頃の値上がりとそこからの坂道の駆け下りは凄いものがありますね。2008年と2012年の値下がりなどかわいいものです。なお、大きく値下がりしたと言っても1985年の価格水準には戻っていません。
2019年に価格はバブル期と並んだのですが、それでは新コロナ不況によってまた、1990年から10年かけたような値下がりが来るか?と言われると、私は自信をもってNoと答えます。バブルの頃は完全な投機でしたし、金利もめちゃくちゃ高かったのですが、今は金利がほぼゼロの状態です。
日本に限らず各国の中央銀行はお金をフル回転で刷っています。バブル期には強烈な金融引き締めをしましたけど、いまは逆。超緩和方向なのです。教科書的に考えるとこの刷りまくったお金の行き先は、最終的にインフレもしくはスタグフレーションの方向になるはずです。どちらにしてもお金の価値は下がり、現物の資産価値は上がる。アベノミクスが始まってから、お金の価値は下がっています。需要減に伴う価格の目減りはあるでしょうけど、最終的にインフレといつかまた来る好景気でチャラになるでしょう。
まとめると:
- 新築マンションは集客が困っている中小デベ物件から投げが始まる
- 中古マンションは短期間で10%かそれ以上の下落幅がありえる
- しかし、お金を刷りまくっているので歴史的な教訓を考えればインフレ(好景気)orスタグフレーション(不景気)でチャラになる
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この10年間、特にオリンピック決定後から6年間で湾岸に行われた社会投資は非常に大きなものがありました。10年間でここまで変わった街は、日本にほとんどないでしょう。
コロナで「長い自粛生活を余儀なくされる」「日本人の価値観が変わる」「テレワークが増えて郊外生活が流行る」「だから東京の湾岸タワマンは暴落する」。そういう意見も耳にしますけど、湾岸は、実は都心に一番近い郊外なんですよね。都心近傍でありつつ、閉塞していない開放感のある立地で、郊外的な生活も楽しめる。湾岸タワマンの魅力は不変だと思うのですよ。
ただ、「多少狭くてもいい」という考え方は少しパラダイムシフトが起こるかもしれません。少し広め部屋が多い東雲キャナルコート物件の魅力が増すような気がします。
ネットで見つけた余裕があって眺望も良い、東雲タワマンション。在宅時間が多くなるとやっぱり広い家はいいよねって回帰するかもしれない。都心に近い割にタワマンが安い東雲は穴場である:
ビーコンタワーレジデンス 28階 6,118万円 81.72m²
コロナは人口減らすのに、当たると思ってるのかなー
まったく同感です。特に湾岸の再評価の部分は非常に同感です(と、自分自身が信じたい気持ちでいっぱいです)。
湾岸はどう考えてももう不人気でしょう。
私の周囲では武蔵小杉と同様に最近は避ける傾向が顕著になってきています。
やはり昔から人が住んでいるところの方が土地的に安心と言っています。ただそのような場所はやはり高いのが課題ではありますが。。。