ケーススタディ集

【ケーススタディ集】修繕積立金の値上げが遅れているマンションは不安がありますか?

ケーススタディー集です。今回、私の相談フォーム宛にこのような意見が寄せられました。管理面での質問は正直はるぶーさんの方が適任のような気もしますが、私なりの回答も書いておきますね。

(画像は全く題意と関係ありません。諸悪の根源は後ほど触れますが、階段状の修繕費値上げなんですよね)

Q:
Cと申します。
以前、某物件の件でご相談したものです。
結局購入にはいたらなかったのですが、(中略)見送った主な理由は、管理面で若干の不安を感じたからです。記憶が薄れていますが、修繕費の値上げが遅れていました。(以下略)

A:
修繕積立金の値上げが遅れるマンションは、そもそも管理面で不安を抱えているのでしょうか?
新築マンションの販売時には、管理費は基本的に変わりませんが、毎月の修繕積立金は階段状に値上がりしていくイメージです、と説明されます。そもそも、平米あたり100円レベルがずっと続くとどのマンションでも将来的に修繕積立が不足するのは目に見えていますから、値上げ提案された総会で「ワシは値上げなんて聞いてない!」と怒りの声をあげる人は、すっとぼけているか”自分は無能である”と声高に主張しているようなものです。

(国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」より)

特に新築から築5年までは、毎月の支払額は極端に抑えられていますから、意識の高いマンションだと開始数年で値上げの提案がされるようになります。でも築5年になっても修繕費の値上げを理事会が総会提案しなかったら?そのようなマンションは管理面に不安を抱えているのでしょうか?私はこのマンションの管理組合内部事情を知らないので、それぞれの意思決定について外野がいろいろ言うのは筋違いだと思いますので、あくまで一般論で回答させていただきます。

1:6年目からの値上げをするかどうかは、それぞれの管理組合に任されている
毎月の修繕積立金計算をどのように集めるかといえば、現在より30年後までの修繕工事の累計額と釣り合うように計算されます。上図は新築時から築30年時修繕工事の累計額と、区分所有者全員から徴収する修繕積立金が釣り合うように、階段状の値上げ幅が決定しています。5年毎に30年後をチェックするので、最初の見直し時期、つまり築5年(丸4年経過後)のときは築34年後までの累計額で再計算されることになります。
ただし、34年後の累計額なんて誰にもわからないし、丸2年までのアフターサービスで徹底してチェックしているので、12年後の大規模修繕は後ろ回ししても大丈夫という判断なのかもしれません。見直ししたから即上げなければいけない、というわけでもありません。

いずれは値上げするけど、今年は別の重要決議があるために来年に後回し等、「合理的な理由」があるのであれば、さほど心配することはありません。ただし、合理的な理由があるのか、単純に値上げをしたくないだけなのかは、総会議事録を見てもわからないかもしれません…

2:新築からの買い主は修繕積立基金を一括で支払っており、そのアドバンテージは見ても良いと考える

開始数年で修繕積立金を階段状に値上げするのをヤメて一気に値上げしてフラット化へ移行する。確かに立派です。でも上図をもう一度よく見てください。新築時に入居した区分所有者は数十ヶ月分の修繕積立基金を払っています。このアドバンテージは見ても良いのではないでしょうか。最初の積立金が70万円であれば、だいたい6~7年くらいのアドバンテージに相当します。その時まで待つという意思決定もありえます。

3:駐車場の収入がどこに振り分けられているかでも違う

駐車場の収入は、管理費に組み入れられていますか?それとも修繕積立金の方に行ってますか?駐車場収入が修繕積立金の方に行ってるなら、目に見えているよりもずっと多くの額が修繕費へ積立られていることになります。単純に毎月の修繕積立金が安いから不安、ということはまた違うのです。

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まぁこんな感じです。Cさんが購入をためらわれたのは1年前、いまその某マンションの修繕費を調べると値上げされていました。私にも1年後回しした理由はよくわからないのですが、実は心配は杞憂だったのかもしれません。それぞれの管理組合がどのようにマンションの将来を考えているのか、できれば、ホームページ等で語れる手段を持っておくと良いかもしれませんね。

(本稿ははるぶー大先生に監修いただきました)

 

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