ask.fmにて頂いた質問、3週間放置してしまいすいません。
本日はこちらについて考えてみます。
Q:のらえもんさんは勝どきの新築タワマンの今後についてどう思いますか? タワマンが続々建設される中(TTT西側、ドゥトール北側、選手村跡地など)、眺望が確保されている部屋は限られてくるのかと思っています。 今後は、眺望が確保されたどちらかというと少数派の住戸に人気が集まり、その他は駅距離や共用施設、PT晴海のようなコンセプトで違いを出すのかなと思っていますがどうでしょうか?
ask.fm-のらえもん
湾岸タワーマンションに限らず、新築マンション時における上階と下層階、方向や眺望の有無に関わる値段差は中古時に縮小傾向にあることはご存知かと思います。新築マンションは単体で棟内での値段の差を付けて販売しやすくするために、大規模であればあるほど価格の歪みは大きくなります。
こちらを図にするとこんな感じでしょうか。平均坪単価を大きく下回る広告用の部屋は、棟内でも眺望や日照条件が比較的恵まれていない部屋があてがわれます。眺望日照間取りなど、その他の条件に優れたプレミアルームは新築販売時、物件平均坪単価を大きく上回り、タワーマンションだと同立地にも関わらず坪100万円以上、70平米あたりで2100万円の差があることもしばしばです。
タワーマンション最上階の評価は、総じて眺望≧向き(日照)であり、部屋から何が見えるのかが重視されます。何が見えることが重要かといえば、東京タワー・レインボーブリッジ・富士山が湾岸物件眺望三種の神器となります。
この眺望三種の神器は、最上階だけにとどまらず、一般フロアでも価値が高いとされています。例えば、ワールドシティータワーズは築年数の経過とともに物件全体が緩やかに下落傾向の中、レインボーブリッジに面する東・南東向きは近年評価が高まって成約坪単価が上がっています。
これは他の湾岸物件でも確認されています。
例えば、「勝どき ザ・タワー」の同じ間取り・平米数・向きで7階(目の前眺望なし)と33階(東京タワー・浜離宮ビュー)の中古成約値が3420万円、坪単価で139万円の差を確認しました。上記のような、「中古になると価値がシュリンクしていく」はずの常識では考えにくいほどの差といえます。
(3ヶ月以内の成約値で坪単価139万円の差が出た間取り。画像提供:湾岸マンション価格ナビ)
湾岸タワーマンションがコモディティ化していく過程において、差別化ポイントが「狭域立地を含めた物件そのもののブランド」だけでなく「各部屋から見える眺望」に急激にシフトしている最中なのかもしれません。「このマンションにしては安いな」という成約を拾うとだいたい眺望がイマイチな部屋であり(コスパ・利便性を取ったということ)、その逆を見ると、マンションの中でも恵まれた眺望と間取りであることがほとんどです。
このトレンドはデベロッパー側も把握しているはずで、これから再開発目白押しの勝どき・晴海地区のタワマン密集を考えると、全周開けた眺望というのが実現不可能になっていく時代に突入します。そうなると、眺望が確保できない向きの売れ行き懸念がでてきますので、ご質問者がおっしゃるように全戸住民が利用できる、高層階の共用施設で差を出していく方向、リーマンショック前あたりに流行した形にトレンドが回帰していくかもしれません。ただ、従来の湾岸タワーマンションのスカイラウンジは数年経つと飽きられ、ほとんど使われることがなくなるので、スカイラウンジの利用が築年数が経っても減らないような仕掛けが必要でしょう。
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