小ネタ

【小ネタ】自動運転車の普及が進むとマンション市場は変わるのだろうか

都心と臨海副都心とを結ぶBRTには、自動運転技術がある程度盛り込まれることになっています。先般、内閣府と東京都、京成バス、トヨタ、日野自動車、いすゞ自動車と最先端技術の導入に向けた協力の覚書も締結されました。

「次世代都市交通システム」(ART)の実現に向けた取組について

art_tech

BRTに限らず、テスラ「Model S」やGoogle「Googleセルフドライビングカー」、Apple「Project Titan」など海外勢の自動運転技術開発が進んでいますし、日本でも日産は「2018年には高速道路、2020年までに交差点を含む一般道での自動運転技術導入」と表明し、実際、次期新型セレナから高速道路の自動運転アシスト機能を付けると発表しています。

官民ITS構想・ロードマップ2016より

autocar

自動運転の技術の覇権をどこが握るかはまだわかりませんが、いずれ高速道路から一般道へのアシストが進み、最終的にはドライバー不要のところまで行くでしょう。それが何年後かはまだわかりませんが、自動運転車時代が到来したとき、いまのマンションの価値観はかなり様変わりするかもしれません。

お盆中のヒマネタとして、この問題を考えてみようと思います。

自動運転車のインパクト

  • 車の中の移動時間がほぼプライベート時間となる
  • 運転免許不要になれば、子供も一人で乗れるようになる
  • 無人タクシーが実現できれば、人件費分の移動コストが下がり利用しやすくなる
  • レシプロエンジンなら従来のインフラでも可能だが、電気自動車になると充電のインフラが街に必要になる

ここから考えられることは

現在の駅近信仰が希薄化:公共交通機関での移動よりも、車での移動の方が、プライベート時間が増えることになり、駅近である必要性が若干薄れる。それよりも自分と家族が使用する車の駐車スペースが確保され、かつそこが充電可能であるかどうかが重要になる。

シェアリングエコノミーの一般化:移動距離によって最適な移動手段が変わる

至近距離(~1.5km):徒歩or自転車
近距離(~5km):無人タクシー
中距離(5~40km):自動運転カーシェアリング&乗り捨て、自分の車、電車
遠距離(~250km):新幹線、特急、自分の車
大遠距離(250km~):新幹線や飛行機

無人タクシーと自動運転カーシェアリングが実現された世界において、両者の違いはほぼ無い。移動距離貸しか時間貸しの違いでしかない。人々が所有の概念から開放されるくらいにカーシェアが気軽に使えるなら、都心の駐車場問題は解決される(そのために乗り捨ての整備が必要)。もちろん、定時性・速達性において電車にはかなわない。

新築マンションに必要な機能:無人タクシーはもちろん、自動運転カーシェアリングは自動送迎が可能なので、マンションに駐車場と同じくらい重要な施設として、住民用車寄せが重要となる。また次世代の自動車が電気で動くなら、各駐車場は充電可能でなければならない。

中古マンションのこれから:車寄せの増設は、ほとんどの中古マンションにおいて不可能。複数の人が同時に使うことを考えれば、細い道より幹線道路沿いの方が有利で価値観が少し変わる。ただ、既存の機械式駐車場・タワーパーキングの電源増設はできずレガシーとして残り続け、悩ましい問題となるかもしれない。

実現すべき要素技術を考えると、運転手がいらない自動運転車の実現は2025年でも難しい気がするんですが、人類の夢でもあるのでそう遠くない未来で実現されます。そのときに、私たちの生活は「身近な場所に電車と駅が来た」以上の衝撃がくるでしょうね。

ただ、都市化の歴史は分散ではなく集積に向かうので、自動運転車の実現によって進むのは、郊外化ではなく更なる都市化なんでしょうね・・・

 

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コメント

  • コメント (3)

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    • 匿名
    • 2016年 8月 17日

    それよりも、経済界で進めている働き方改革、在宅勤務推進などの動きの方が、駅近信仰に影響が大きいのでは?

    • KTT契約者
    • 2016年 8月 17日

    「郊外は移動に車が欠かせませんが車を所有するコストは年間で100万円」の下記解釈から、マンションの実需層への影響は少ないと弊は考えます。

    http://www.dai3.co.jp/rbayakyu/rbay-kodawari/item/2808-2016-08-12-04-19-37

    • 明石町の若旦那
    • 2016年 8月 18日

    いつも楽しくブログとツイッター拝見してます。
    以前askfmでも投稿しましたが、自動運転車の時代が到来した場合のタワマン最大のボトルネックは、ビルトインされたタワーパーキングで、電源を既存設備に設置することの技術的な解決策はありません。ここに将来負の遺産をかかえることになるタワマンと近郊平駐マンションの地位逆転が起こる可能性があります。私が想像するには、電源確保型の立体駐車場が、都心既存老朽ビルのスクラップ&ビルドで新たなビジネスモデルとして立ち上がる可能性があると考えています。ネット通販のブレイクにより湾岸部の倉庫建設が増えてリート化されたのと同じような流れです。都市型タワマンはこの新たな立体駐車場と、イソギンチャクとクマノミのように共存関係を構築するかもしれません。その時には一人1台がデフォルトのため、ずっと小さな建物で驚くほど多くの台数を確保できるようなビルディングタイプになると想像します。このあたりを先読みして動く企業が1~2年の内に出てくるような気がしています(既にタイムズあたりが商社と組んで検討してそうですが)

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