湾岸タワーレックスガーデンに続き、パークタワー東雲も見学してきました。東雲1丁目にあるタワーマンションです。
本物件は数奇な運命の元に建てられたマンションです。もともとここはジャパン・エア・ガシズ(現在解散)本社跡地ですが、その経緯により東雲キャナルコートに指定されていてもおかしくない立地なのにキャナルコートではない、という立ち位置になっています。
逆に言えば、東雲キャナルコートの縛りから外れたマンションでもあります。タワー外に自走式駐車場を建設する義務がないので、本物件は棟内北側低層階にタワーパーキングを収めてしまいました。これは将来の修繕リスクの代わりに自由度の高い敷地計画を可能にしました。後述しますが、この辺では珍しい公開空地ではない庭地を持っていますので、こちらで住民同士のバーベキューも可能となっています。
建設にあたって、設計とデザインにリシャール・ブリア氏を採用。彼がデザインしたのは外廊下の吹き抜けに風邪を通す「エコ・ボイド」と呼ばれる横穴を6箇所もうけること、同時にそこに住民のコミュニティ防災拠点を作ってしまうことでした。横穴で吹きっさらしなので容積率は消化していないはずで一石三鳥くらいの効果に、現物を今回見た時に天才かと思いました。
震災後初の設計まで変えたマンションであり、震災後の新第一世代タワーマンションというべき存在であり、免震+オイルダンパーのハイブリッドや防災設備などは震災前マンションと一線を画しています。
実際600戸とは思えないほどの共用施設の多様さやデザイン面でも語りたくなったため、今回は数回に分けて紹介いたします。本エントリの写真はすべてクリックすると大きくなります。
北側の正面エントランスを入ると吹き抜けのある広いロビーがあります。
ここを左手に出ると住民専用の庭があり、今時珍しい砂場も用意されています。ミニショップも併設されていて、ミニショップで購入したものを外でも中でも食べられるようになっています。
コンビニほどの品揃えはないのですが、焼き立てパンや軽食の用意もあります。実際に訪問時にはママさんたちが複数のテーブル席でおしゃべりをされていました。そのため住民専用の庭などは撮影できず。こちらのミニショップでバーベキュー用のガスコンロが発売されています。
庭には塔屋が建っている(防災倉庫??)のですが、写真で見てわかる通り壁面緑化がされていて、このあたり非常に気を使われているなぁと見受けられます。
庭から戻り、エレベーター方面に進みましょう。エレベーターホールも広々と用意されています。正面はコンシェルジュカウンターで、右側が高層・低層用エレベーターです。訪問時は付いてなかったのですが、デジタルサイネージも用意されています。
目的階につき、エレベーターを出ると、外廊下ですがなんだかオシャレですね。
種明かしをすると、エレベーター側の出口手すりはガラスになっていて、部屋の前側は若干背の高いコンクリート手すりになっています。単純にコンクリートとせずに柱と面合わせをして白く塗られているのでさながらビルの外壁のような連続性を持っています。部屋の前側はわざと背を高くしているはずでこれはプライバシー保護のためだと思います。玄関扉は木目調、周りも少し暗いトーンで塗っていて玄関扉に照明を当てています。
こうすることにより、奥行きが出て、圧迫感の軽減にもつながります。類例はTHE TOYOSU TOWERだと思いますが、こちらはエレベーターホールを出た時に目隠しの壁を作っていました。外廊下感を軽減させるためにおしゃれな目隠し壁を設置する(THE TOYOSU TOWER)か、積極的に見せて開放感を演出する(パークタワー東雲)か、哲学の違いでもありますが、非常に感心しましたね。
タワーマンション探訪記事は、基本的にどこのお部屋に入ったかは触れないことにしております。そのため専有部についてはあまり語れませんが、このマンションは階高に余裕があり、また順梁2mバルコニー+透明ガラス手すりの効果もあり、非常に開放感あふれるお部屋となっていました。人気の理由もよくわかります。
さて、玄関をでると、白の連続した目隠し壁が一部ガラスになっている箇所があります。これは風邪を通すための横穴、「エコ・ボイド」です。次回はこちらを含めた共用施設の紹介をしましょう。
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