このブログのコンセプトは湾岸とマンション購入です。
そのため、当然マンション購入の先にある管理ネタには普段乗っかりませんが(なぜなら私はタワーマンションの理事経験がないので)、私が敬愛してやまないはるぶーさんのエントリ「総会の議決権数が面積に比例するのは当然?」に今回は乗っかることにしました。というのも、湾岸のマンションはほぼ超高層のタワーマンションなわけで、先般、国土交通省が出したマンション標準管理規約及びコメントを受けて、タワマンに関して噴飯もの言説がマスコミに溢れかえっているので、エントリにします。
マンションの管理組合は、区分所有者の集会である総会においてものごとを決定します。基本的には予算案の承認や規約・細則の改正、次期理事の承認などがあります。区分所有者はその持分に応じて投票権がありますが、マンション内に極端に広い部屋と狭い部屋がある場合、広い部屋に2倍、3倍の議決権を持たせる事例はいままでもありました。
今回、マンション標準管理規約の改正において、アホな先生方が「眺望や階数によって議決権に差をつけよう」とコメントを付けたことが、なんとなく誤解の元となっています。
http://www.mlit.go.jp/common/001122893.pdf
↑こちらのP43〜P44です。要はこれからの分譲マンションにおいては、住戸の広さだけでなく、眺望・日照などの条件により各戸の議決権の差をつけることもできますよ、というコメントですね。
実際にマンション総会に出てみると、この規定、あり得ないと思っています。一人一人の議決権に差があると、集計作業に非常に手間がかかるようになるからです。はるぶーさんご指摘のように、眺望による価格差などは中古になった時に縮小されますから、新築分譲の時に固定された(コメントにある)議決権の見直しは原則として行わない、など実情には合ってません。新築マンションにおいて、そのマンションにあった原始管理規約を作るのは、売主と最初に管理を委託された管理会社でしょうけど、将来の火種になりそうなこのコメントは、よっぽどのことがない限り無視されるでしょう。
そして、標準管理規約が改正されたとしても、既にあるマンションの管理規約がこれに合わせないといけないというものではありませんし、この通りに改正する管理組合はほぼいないでしょう。コメントをよく読めばこの規定はこれからの分譲マンションにおいて考慮してもいい事項程度のある会です。
んで、管理規約改正にあたって、三流週刊誌等の報道はこちら:
『タワーマンション議決権で富裕層が圧倒的有利に 』
http://media.yucasee.jp/posts/index/14963
『マンション管理規約改正 資産価値高い部屋の発言権が増す』
http://getnews.jp/archives/1443006
『タワマン総会「『下の人』と言われ腹立った」と4階住民』
http://www.news-postseven.com/archives/20160416_402476.html
ゆかしメディアは、まぁそういうメディアの煽りですからまだいいとして、『マンション管理規約改正 資産価値高い部屋の発言権が増す』『タワマン総会「『下の人』と言われ腹立った」と4階住民』あたりは噴飯ものですね。ほぼすべての文章がおかしいのですが、特にあれ?と思う点を挙げてみましょう。
「今回の改正で、専有面積に応じた議決権の付与が考えられると示されました。簡単にいうと、広い部屋に住んでいる人ほどマンション全体の決めごとに関して決定権が大きくなる、発言力が強くなるということです」
間違い。区分所有法では上記の解釈の方が正しく、別表を定めてわざわざ1戸1票としているマンションがほとんどです。狭い部屋と広い部屋が混在しているマンションでは、広さ比例以内の範囲でより多い議決権を広い部屋の所有者に与えているマンションは現実にあります。
国交省から新しい指針が出たから』と、今回の改正を“錦の御旗”にして、管理規約を見直そうとする管理組合も少なからず出てくるはずです
敷地内の駐車場の数が全戸数の半分くらいしか用意されていないマンションは多い。専有面積の広い住戸が優先して利用できるという管理規約を持つマンションはすでにありますが、今後、同じように規約を変更するところが増えかねません
タワーマンションに実際に住んでいるものとしてコメントすれば、普通に考えて、こんなのイチャモン以外の何物でもなく議案が提出されるわけない・・・そもそも中低層階の方が票数多いのに高層階の住民による高層階のための議案を出しても通りません。
まともな判断していたら理事会段階でこんな議案ははねられますね。高層階で眺望がとても良い部屋の理事で固まった時は?とふと思いましたが、棟内対立を招きかねない条項を入れるほどみんなバカじゃないっすね。
月々の管理費が高くなるかもしれません。物件の資産価値を上げるため、手厚いサービスを売りにする管理会社に変え、1階にはコンシェルジュを置き、エントランスには24時間態勢でガードマンを常駐させるようにすることも可能だからです。
タワーマンションのサービスレベルは理事会や管理組合がよく話し合って決めることです。ガードマン・コンシェルジュを常駐させるにはコスとがかかりますが、サービスを受ける以上は応分の負担を払うべきです。コスト増に文句があるなら自ら声をあげてサービスレベルを変えるべきです。
管理規約が変われば、高所得者しか飼えないような大型犬の飼育が可能になるかもしれない。散歩帰りのドーベルマンとエントランスで鉢合わせし、ガブリと噛みつかれる
アホかと。誰がそんな危険なもん通すのかと。
エレベーターに乗ってからも、私が4階のボタンを押した後に、一緒に乗り込んだ人が12階のボタンを押すと、劣等感に苛まれます。
あの〜たとえ4階だとしても方角広さによっては12階住戸よりもずっと高いのは、そのマンションに住む人なら誰でも知っています。非実在人物のインタビューでしょうけど、もしいるとしたら被害妄想すぎませんか。
最上階の南向きの部屋を持っている人の意向が通りやすくなり、低層の日当たりの悪い部屋に住んでいる人は、従わざるを得なくなるかもしれません
ねーよ、たとえこれからの新築マンションで、当該事項が発動したとしても議決権は2とか3になるだけで、数百の議決権の前では発言権が変わるわけないですね。
もう一度書きますが、標準管理規約のコメントをよく読めばこれからの新築分譲でこの規定が入るかもしれないレベルで、いますでにあるマンションを変えるべきとは書いてませんし、オススメもしていません。つまり、こちらの記事に出している”専門家”のみなさまは、きちんと読んでないか読解力がないか、そうとしか思えません。
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三流週刊誌の記事とはいえ、事情通ぶらないといけないジャーナリストはともかく「マンション管理組合コンサルタント会社」さんがこんなコメントを寄せて、タワマンに対する根拠なき不安を煽られても困るんですよ。そもそもタワーマンションの管理組合はあなた方の将来の顧客候補でしょう?週刊誌に利用されるようなヘマやらかさないでほしいですね。
超高層マンションは既に10.15万戸、約20万人の「住処」なんですね。やっかみ目線なのか僻みなのかは知りませんが、タワーに住んだこともなく、ロクに中の情報を知らないくせに、なんでもいいからタワーdisりに持っていくその精神が気にくわないですね。上記事情がわかった上で言ってるなら相当根性が悪いですし、わかってないなら、無知なのにコメントを寄せる単なる恥知らずです。
人の住処をdisるならきちんとエビデンスをとって主張してほしいですね。
面積小や低層階などの区分所有者向けには、眺望ラウンジやスタディルームを有効利用や、フィットネススタジオの維持費用を倍以上負担してくれる最上階の住人など、大規模超高層マンションとしての魅力も兼ね備えております。
管理修繕費も違いますし、広さにおいての権限は多少差が出てもいい気はしますが。
専有面積に応じて管理費等が高くなるのは仕方ない。土地が広ければ税金高くなるのと感覚的には同じ。広い部屋に住んでることでステータスを感じるんでしょうから。でも権限は関係ない。
広さ以外での負担増減は主観が入りやすく不健全。