拙ブログの守備範囲は江東区湾岸地区+中央区の一部+αですが、最近相場の変調が観測されつつあります。守備範囲の不動産相場は夏でいったん天井を付けてゆるやかな下落基調に入ったと認識します。今後ですが、下落基調は1年を経たずして止まるとは予想しています。
ここに至ったのはいくつか要因があるのですが、一番の原因は売主の強気と相場があっていないことにあります。中国経済の変調は外国人購入客の減少を招き、強気の相場にビットする参加者が減ったのです。
毎週金曜日に届く湾岸中古マンション価格ナビさんのメルマガでは、「新着売却物件」「値下げ物件」「成約事例」が載っています。今回は成約価格の推移には触れず、事例の数だけ見てみましょう。
新着の発生数に対して、成約数の伸びが追い付いていません。一般媒介では成約事例に載らないこともあることを差し引いてもです。また、昨年までは多くても5~7事例止まりだった「値下げ」がここ2か月で急に伸びてきています。これは売り出したものの思った価格では売れず、期間の長期化とともに値下げを余儀なくされていることを示唆しています。
なぜこの地区の売主の希望価格はここまで強気になってしまったのでしょうか。これはここ最近の仲介店の豊洲出店ラッシュが関係しています。従来三井リハウスと長谷工の仲介の二店舗だった場所に、東急リバブル・野村の仲介・住友不動産販売・住友林業などの財閥系仲介業者が一気に進出してきました。普通、競争激化は基本的に世の中良い方向に向かいますが、今回は悪い方向に向かったようです。あまりこの辺は安易に書けない事情もありますのでお察しください。いま、目の前で起こっている事態に対するソリューションを私は持ってません。
ひとつ言えることは、このエリアで購入を希望する買主は消えてはいないということです。ただその相場観としては有明・東雲エリアで探す買主は予算5,000万円、豊洲エリアで探す買主は予算6,000万円が目安です。坪単価の前にまずこの総額の予算感があって、この目安ラインだと案外さっくり決まります。
P.S.
マンションの杭打ち施工不良が問題になっていますが、湾岸タワーマンションのほぼすべてが、既成杭ではなく、現場打ち杭です。いま問題になっているのは元請け会社が支給した既成杭の長さが足りず、下請けが決められたスケジュールの中、申告できずにそのまま素通りしていることが問題の背景です。現場打ち杭は、少なくとも「足りなくてもしょうがない」というインセンティブは働きませんから、そこの部分については問題ではないかなと推察します。
こうやってネガティブ系の情報も出してくれると安心してポジティブ系の記事も読めるので有難いです
>売主の強気と相場があっていない
これは確かに実感としてありますね
こちらはマンションほど騒がれていませんが、横浜市の港南区総合庁舎の移転新築工事でも杭の欠陥が見つかってるんですよね・・・・
港南区総合庁舎は場所打ち杭ですが、杭18本全てでコンクリート充填不足が判明しています。
既成抗でないから長さ不足の問題はない、というのは一面の真実ではありますが、それだけでは人材不足の建築業界において問題がないとは言いがたい。
地盤が盤石とは言えない湾岸の高層マンションでは、特に施工監理の質が問われていると思います。
地下は設計段階の想定と、施工段階での実際とが違った例は、他にもある様です。
例えば勝どき駅の改良工事では、地層が想定外に硬くて掘削に時間がかかり、完成時期が遅れているとの説明があります。
マンションの基礎は硬い氷河期の洪積層で支えていれば安心と思います。
階数が高いほどしっかり設計・施工されるので、超高層では不同沈下問題は起こっていないのでは。
ちなみに姉歯物件は10階以下が多く、50階以上のタワーマンションは2000~2012に10棟しか竣工していないと思います。
そういえば東洋ゴムの件でも公共施設は対象になってましたね
こういった場合行政から企業へ建替えを要求できるのかな・・・?
利用者の安全に関わる話だし補償金もらってそのままにはできないでしょうし
購入してしまった人の不利益になるのかもしれないですけど対象のマンションは公開して欲しいですね
のらえもんさん、流石です。
こういう記事を冷静に掲載されると、
blogを拝見する気持ちになります。
感服しております。