東京に限らず、日本の河川行政というのは治水視点が最重要視でした。これは川が氾濫したり、高潮が来たり、津波が発生して川から溢れ出すと流域に大変な被害を与えるからです。東京都はご承知の通り明治から高度成長期にかけて、地下水のくみ上げにより地盤沈下が発生し、干潮以下の地盤面しかない地域もあるからです。
被害の拡大を防ぐためには、コンクリートで守られた高い堤防しかありません。しかし暮らしを守るための堤防は、いつしか川のある暮らしから川を意識から遠ざけるとともに、地域の断絶を産みました。同時に、陸送に比べて圧倒的に燃料効率の良い水運の衰退も避けられませんでした。これには水質悪化も関係しています。
今回、東京都建設局が発表した整備計画原案では、水質が改善され、スーパー堤防などの建設により安全に水辺に近づける整備が進んでいるとの認識のもとに、一歩前に進めて、生き物の生息に配慮した整備や、水上バスや屋形船の運行、レガッタ大会、オープンカフェへの活用などの利用を更に促進することとなっています。
具体的には「にぎわい誘導エリア」を設定して、ここに川と街の結びつきを強化する結節点としています。
湾岸エリア近辺ではそのポイントは築地と佃・越中島となります。特に築地は1年後に迫った豊洲市場移転が控えていますから、この河川計画の変更は重要なポイントとなりそうです。築地を起点にした浅草・秋葉原・晴海・羽田空港などの水上バスなども考えられるからです。
また、豊洲の東電掘(BAYZと昭和大学豊洲病院の間)のあたりで、水辺カフェや水陸両用バスの運行などの誘致を江東区が進めているときいたこともあり、河川のにぎわい・交通利用の両側面からの活用は、湾岸生活者にとっても将来期待できそうなポイントです。
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