のらえもんが、実際に寄せられた相談を元に、どのように回答するかシミュレーションしたケーススタディ集。今回もask.fmに寄せられた質問からです。
200万円の譲渡所得控除と400万円の住宅ローン控除のどちらを取るべきか、のらえもんさんの視点をご教示ください。
プラウドタワー東雲旧公式Webページより。題意とは関係ありません
Q:
自宅マンション(3年居住)の売却により利益が出ました。ザックリ200万円の税金を納める計算です。また、売却と合わせて住宅ローン控除対象物件を購入しました。 悩んでいるのが自宅売却の譲渡所得控除と、買替先の住宅ローン控除がどちらかひとつだけしか使えない点です。 譲渡所得控除を選ぶと当面の手元資金が残る一方で、住宅ローン控除に比べ税金控除額が少なくなります。 ポイントは、自分が何年買替先に住むつもりか、手元資金と将来資金のどちらを重視するかだと思いますが、他に検討要素はございますか?
A:
たしかに悩ましい問題です。ブログを読んでいらっしゃる方に少し譲渡所得控除と住宅ローン控除について説明しておきましょう。
住居を譲渡した時、買った値段より売った値段の方が大きければ*譲渡所得が発生しますが、この住宅が自己居住用であれば、3000万円までの譲渡所得控除が受けられます。
*単純化しましたが本当は建物部分に関しては減価償却費を取得費用から差し引きますし、仲介手数料などの売却経費を所得から差し引けます。売却の際に説明を受けられるはずです。
つまり、3000万円までの住宅譲渡所得は無税なのです。しかし、買い替えの場合、新しいマンションの住宅ローン減税を使えなくなります。さらに5年以内の短期所有なので、譲渡所得に39.63%の税率が課せられることになります。
一方、住宅ローン減税は最大400万円ですが、10年間の住宅ローン残高*1%なので、フルに受けるには
- 10年後時点でも住宅ローンの残高が4000万円を超えている
- 所得税と住民税合わせて年間40万円以上の状態が今後10年続く
の2点が必要となってきます。ご質問者の場合は、上記2点をどちらも満たしていると仮定しましょう。
もし、10年そこに居住し続け、さらに繰り上げ返済等をしないのなら、
- 手元に200万円残す
- 200万円をいま払って10年にわたり年40万円づつ受け取れる途中解約不可クーポンの購入
の比較となります。後者は単利10%・複利7%計算というとても魅力的な金融商品です。これが居住5年間でまた引っ越すなら金銭的にはイーブンですが、手元にいますぐ200万入ってくる分、譲渡所得控除の方が有利となります。
そもそも、3年で住み替えたのはなぜでしょうか?前の立地やマンションに不満があり、その解消のためのの住み替えなら良いのですが、「相場で売り時だった」というクールな回答でしたら、これから先の選択の自由も重要です。「あと1年住めば、40万円の税金が戻ってくるのに」と考えて、数百万円のディールを逃したくはないですね。(昔ののらえもんなら、きっとそう考えていたのでしょう)
P.S.
こちらの質問された方は結婚を機に住み替えられるとのことでした。
はじめまして。
いつも更新を楽しみにしています。
マンションの売却後は賃貸に住み、年が明けてから新しいマンションを購入できれば、両取りできると思ったのですが、そんなウマイ話はないですかね?
来年から湾岸タワマン住民の仲間入りします。宜しくお願いします。
できないですねー。
よく調べずに書いてすいません。
>>かとうさん
3000万円までの譲渡所得控除を受けると売却した時含めて前2年後2年は住宅ローン控除は受けられません。
この辺あまりにも細かく言及すると税務上のアドバイスになってしまうためやめておきます。(ブログ内でも一般的な言及としました)