勝どき ザ・タワーの総評にて、「逆梁アウトフレーム構造が生むライン、シンメトリー性を強調したデザインは順梁ガラスバルコニーなマンションより、僕の好み」と書きましたが、ほとんどの人にはなんのこっちゃ?という感じだったかもしれません。
順梁と逆梁の違いについて、わかる範囲で説明してみます。
高層マンションは基本的に「ラーメン構造」でできています。ラーメン構造とは、柱と梁の組み合わせで耐震性を生み出す構造のことです。以下の図がわかりやすいでしょう。
画像出典:三井のリハウス 不動産用語集より
この柱と梁の間に、壁と床を設置して空間を切り取ります。これが部屋になるのです。常識的に考えれば、梁と梁に床を渡すので、梁は部屋の中から見れば上に位置することになります。これを順梁といいます。最近のタワーマンションでは、バルコニー手すりの下部分をガラスにして開放感を演出することが多くなりました(一昔前なら怖いと言われていたでしょうね)
さて、2000年前後くらいからでしょうか。順梁とは逆に、床の上に梁を乗せる構造が流行し始めました。これを逆梁といいます。言葉にすると難しいのですが、図にすれば一目瞭然です。
順梁の場合:
逆梁の場合:
このように、コンクリート梁が出っ張る部分が変わってきます。柱と梁はセットなので、柱の位置も変わります。
逆梁である「勝どき ザ・タワー」と順梁である「ザ パークハウス晴海タワーズ ティアロレジデンス」の間取り図を例に挙げて比較してみました。
この違いを理解すると、メリットデメリットがわかりやすくなります。
順梁は、バルコニー面積を広く取ることができます。サッシ高は不利になりますが、ガラス手すりを使うことで、採光上の不利を軽減することができます。ただしコンクリート柱がベランダにめり込んだ形となり、少し使いにくくなります。
逆梁は、サッシ高を高く取ることができます。キッチンからバルコニーまで天井の高さを均一にすることができるので、高級感が出ます。他方、梁の分だけバルコニー面積が減少します。
個人的に一番大きな違いは、マンションの外観デザインが全く異なるということです。
逆梁の勝どき ザ・タワーはこうなります。
マンションの柱と梁が前面に出てきます。力強くマッチョなデザインとなります。
一方、順梁のティアロレジデンスはこうなります。
バルコニーのガラスが全面に出てくるので少し青っぽく、硬質でシャープな印象となります。
私はどちらかといえば、マッチョで存在感のあるデザインが好きです。
ただ、晴海タワーズはあらゆるタワーマンションの中で、1・2を争うほどカッコいいと思っていますので、この2つを比べると迷ってしまいます。
タワーマンションは見ただけで、順梁か逆梁か見分けることができますので、一度ご覧になったらいかがでしょうか。
注:バルコニーは2mまでは容積率不算入なので、ほとんどのマンションはバルコニーを2mまでとします。逆梁のコンクリ部分を含めて2mなので、逆梁の方が実質狭くなります。
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