読者様より「豊洲エリアの将来性について聞きたい」と長文の相談メールを頂きました。のらえもん、様々な相談メールを頂戴しますけど、「質問力」のあるメールって答えたくなるし、ブログにも取り上げたくなりますよね。
のらえもんへ質問したい方はこちらから:
https://wangantower.com/?page_id=11584
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お世話になります、Aと申します。
いつも楽しくブログを拝読しております。
本日は豊洲という街の将来性についてご意見を頂戴したく、
連絡差し上げました。
豊洲の魅力に強く惹かれており、
直近3-12ヵ月以内に中古マンションの購入を考えております。
ですが、現在購入を検討しているマンションの成約相場が非常に高い水準で推移しているため、
高値づかみとなってしまい、売却のタイミング(5-10年後)で残債割れしないか心配です。
自分の考えでは豊洲に今後大きなアップサイドは見込めないものの、
緩やかに都市としては成長していくため、
保守的に考えても残債割れの懸念はないと考えておりますが、
東湾岸エリアに精通したのらえもんさんに、
豊洲という街の将来性という観点でご意見を頂戴できればと考えています。
自分の考えている、豊洲のアップサイド・ダウンサイドは下記の通りです。
■アップサイド
・2040年ごろまで増加が見込まれる街の人口推移
・地下鉄8号線(有楽町線)の延伸計画
・新豊洲エリアの再開発
・『未来の東京』戦略(案)などの開発計画
■ダウンサイド
・首都直下型地震など、災害(とりわけ液状化)による相場の下落
※不動産屋の方にお話を伺うと、東日本大震災で最大で10%ほどこのエリアで価格が下落したと聞きました
・景気後退に伴う相場の下落
※これは豊洲に限った話でもないですが、現状このエリアの相場が非常に強気な分、影響を受けやすいかなと考えております
※不動産屋の方にお話を伺うと、リーマンショックで最大で15%ほどこのエリアで価格が下落したと聞きました
(以降、Aさんの購入相談)
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正直、Aさんが挙げた要素にあんまり付け加えることがないのですが。豊洲はほぼ15年かけていま街としては完成に向かいつつありますね。このエリアでの大きなタワーマンションはいったん、ブランズタワー豊洲で打ち止め。それ以降の計画の話は私の耳に入ってきません(そのうち住宅展示場とか、WILD MAGICあたりがそうなっていくかもですが)。
豊洲のアップサイド①いつの間にか豊洲はオフィスの一大供給地になった
大型オフィスビルはこれから3棟供給されますが、これが終わると一服するはずです。
- SMBC豊洲ビル(ベイサイドクロスタワー隣接)
- メブクス豊洲(豊洲6丁目の豊洲市場向かい、ホテルと一体開発)
- 豊洲4-2街区開発計画(アニヴェルセル豊洲跡地)
上2つは延床面積8万平米以上、豊洲4-2街区開発計画についても、A棟47,000平米+B棟90,000平米と大きなものになります。いつの間にか豊洲は一大オフィス供給地になっていました。住職近接の時代ですし、江東区でこれだけ大きなビルと住宅集積が行われているのはここだけです。隣接エリアの月島・勝どき・門前仲町にだって無い。それでいて海が近く開放感を感じることができる立地。豊洲がこれからも競争力があるといえます。
豊洲のアップサイド②2040年ごろまで増加が見込まれる街の人口推移
豊洲にこれからこれだけの人口を支えられるだけの住宅って建つかな…?と思いましたが、江東区の「豊洲地区」って住所表記の豊洲とは違いますね。塩浜・枝川・潮見・辰巳・東雲・有明・青海を含む広域エリアのことだと思います。ここまで含めれば、豊洲地区が江東区最大派閥になるのは間違いありませんね(の割に政治力が弱いけど)。
住所表記「豊洲」にとっての狭域の後背地といえるエリアですから、ここの人口が増えれば、豊洲エリアも相対的に浮上するのは間違いないです!
豊洲のアップサイド③地下鉄8号線(有楽町線)の延伸計画
これ私本当に来るのかは半信半疑なんですよ、小池都政は地下鉄8号線について冷淡ですね。メトロも新線作らないって言いきってますし、コロナで鉄道の需要も減りましたしね…
あくまでも来たらポジティブサプライズってところじゃないでしょうか。
豊洲のアップサイド④『未来の東京』戦略(案)などの開発計画
先日発表されたこちらの資料ですね。
- 「TOKYO Data Highwayプロジェクト」5Gの先行実装による都市の見える化地域に選定
- 「世界一の美食都市実現プロジェクト」豊洲市場に整備する千客万来施設
- 「3か年のアクションプラン」旧晴海鉄道橋の遊歩道化
- 「東京8号線の延伸」事業化に向けた協議・調整をさらに加速
- 「都心と臨海地域を結ぶBRTの運行」豊洲および豊洲市場停留所を新設
このあたりは、前々から言われているところだから、そんなに発見はないですかね。他の地域に比べて豊洲の言及量は多いので、東京都からは目をかけられているエリアではあります!
総じて「アップサイド」と書かれているところは、サプライズはあんまりないので、あとは豊洲6丁目がどう変わっていくかによると思いますね。今のままで十分いいと思います。
豊洲のダウンサイド
・首都直下型地震など、災害(とりわけ液状化)による相場の下落
・景気後退に伴う相場の下落
この2つは完全にありますね。首都直下型地震が起きたとき、大きな被害を受けるのは豊洲ではなくもっとほかの街だと思いますが、液状化はあるでしょう。建物倒壊や火災は他の地域の方が酷いはずなので(東京都発表)、豊洲のみが影響を受けるという話ではないと思います。
3.11の豊洲液状化についてはこちらに詳しく上がっています。
https://nz666.exblog.jp/15049063/
もうひとつ景気後退に伴う相場の下落なんですが。どちらかといえば、「金利上昇」の方がトドメになる気がしています。勤労者がギリギリ買えるのは低金利政策のおかげだからです。しかし日本円の競争力が剥げ落ち、いよいよ金利を上げないと円安が止まらない局面になった時、はどうなるのでしょうね?スイスフランは落ちていないから日本円も大丈夫、というのもありますが、アジア圏の決済において、中国元の存在は相当大きくなっていますからね。
そもそも論として
私は、景気後退で円安が進むとますます買い手に外国人が増えると思ってます。彼らは日本が失われた30年の間に、正しく資本主義で資本を増やし続け、いつの間にか日本よりもお金持ちが多くなっています。円安が進むと、あらそれならお安いと東京のマンションをお買い上げ、瞬く間に買い手のトップが外国人になる将来は、想像したくありませんが確率としてはあると思います。シンガポールもNYもロンドンも、世界都市だからこそ世界中の買い手が集まって、深刻なカネ余りの中で不動産価格が高騰しています。そして東京も世界都市なんです。
日本円の金利が長いことゼロ近傍だったのに他国との為替水準が変わらなかった、というのは他国の金利分だけ日本円が実際に弱くなったのだ、と私は理解しています。日本円で給与を受け取る東京の勤労者の所得が世界的に見て相対的に下がっているから、世界都市東京中心部のマンションは勤労者が買えなくなくなる、暗い近未来予想を描けるのです。
それでは、我々は何をすべきなのか。。。答えはおのずと明らかな気がします。怖いですよね?私も怖いです。でもAさんが豊洲にマンションを買いたいのなら、湾岸妖精の私はこの話を出してあえて背中を押してあげたいのです。
こんにちは。
4-2街区再開発についてはどらったらさんの記事にA棟延床47000m2、B棟90000m2との記載がありましたよ。
豊洲沼はハマると大変ですね。5.6年で出て行くつもりが進化を続ける街に魅了され、結局出て行く気がなくなってしまいました。
まだまだ進化は止まらないと思います。
情報ありがとうございます!