経済系ニュースサイト、「プレジデントオンライン」の記事、【武蔵小杉の「トイレ禁止タワマン」に新たな火種】(リンク先魚拓)を最初一読して、まぁよくもこんな酷い記事がかけるもんだ、と呆れたところ、市販で一番売れている(と自ら主張している)ビジネス雑誌「PRESIDENT 2019年12.13号」にも同じ記事が掲載されたとのこと。
さすがにこれは指摘せざるを得ないなと思っていたところ、それに乗っかってタワマン規制をTwitterで主張しだした練馬区選出の都議会議員、尾島紘平氏(都民ファーストの会)の論があまりにも噴飯ものでした。そこで、タワーマンション住民のらえもんとしては、やはりフェイクニュースと、出鱈目な暴論にはきちんと立ち向かうべきであると思います。だってこの議員さん、東京都知事与党なんだもの。
- 雑誌「PRESIDENT 2019年12.13号 武蔵小杉の「トイレ禁止タワマン」に新たな火種」記事は、どう”フェイクニュース”なのか
- それに乗っかった、尾島紘平氏の主張のおかしさ
を私のブログで検証しようと思います。
反論はいつでも受け付けます。Web魚拓のリンクは末尾に付けました。
プレジデント編集部署名の記事は、マンションについて、基本的な知識が全くない人が書いている
件の記事の論旨をコピペすると以下のとおりです。
- 武蔵小杉のとあるタワマンは、地下に雨水が浸水して被害を受けた。
- 渦中のタワマンでは「こんな状況で家賃を払う義務はあるのか」と苦情を出す賃貸居住者もいる。だが、あくまで居住者とオーナー個人間の問題であるということでデベロッパーの三井不動産は干渉せず。
- 駐車場代は月額1万8000円、だが使用禁止。「しかし、常識的に考えて、支払う必要はありませんので、三井不動産から返金というかたちになるのではと考えられます。」
- 「タワーマンションの管理費というのは、ここ10年の間に10万円を超えると言われています。タワーマンションの場合、大規模修繕にかかる費用が莫大で、1万そこらの管理費ではまったくまかなえていないんです。」
- 武蔵小杉のタワマンは大勢のオーナーが部屋を売りに出している。売りが過多となっている以上、需要と供給の関係で価格が上がる可能性は少ない。
- 三井不動産のホームページには、『駅まで歩く時間も幸せに感じる、緑豊かな再開発エリアに暮らす。』と謳い文句が掲げられている。しかし、デベロッパーも不動産業者も売ってしまえば、あとはどうなろうと知ったことではないのだ。
普通の出版社なら、公開前に校正、校閲、ならびにファクトチェックが行われると思いますが、ひどいものです。僭越ながら、のらえもんが代わりにファクトチェックをさせていただきましたが、上記太字はすべてフェイクです。
まずこの編集部記事は、マンション区分所有者が払う「管理費」と「修繕積立金」そして「賃貸契約者が払う管理費」について区別がついていません。
マンションを購入された方なら誰もがわかるのですが、区分所有者はマンション管理組合に、日々の維持管理に使う「管理費」と、積み立てておいて修繕に使う「修繕積立金」を毎月支払います。賃貸契約者がオーナーに対して払う管理費は、この管理費とは全く別物で、結局は家賃の一部です。オーナーが管理費と修繕積立金を払います。
次に、引き渡しされた物件はあくまでも区分所有者全員のものですので、駐車場代を売主が補填するということは、ありえません。
また、「タワーマンションの管理費というのはここ10年の間に10万円を超える」というのは全く根拠がありません。2000年前後に建てられたタワーマンションは築20年、武蔵小杉のタワマン達より10年ほど先輩になりますが、管理費が月10万円を超えるという事例は発生しておりません。
管理費ではなく、修繕積立金だとしてもやはり「10万円を超える」というのはやはりありえません。インタビューした「不動産屋」が本当に実在したならそちらのほうが驚きです。マンションに理解がなさすぎる、素人すぎる不動産屋です。
そして、「武蔵小杉のタワマンは大勢のオーナーが部屋を売りに出している。売りが過多」と言われますが、これもフェイクです。弊ブログでは、10/21付で「武蔵小杉・駅徒歩10分以内のタワーマンションの売出し件数を照会したところ、10/21時点で94件の登録」を確認しておりますが、12/3付で同条件で確認したところ、「80件」となりました。つまり、台風後から今までの間にタワマンの売出し件数は減っています。なお、台風後から現在まで約50日間で同条件の武蔵小杉タワマン成約数は13件ですから、需要と供給がミスマッチになっている水準とはとても思えません。
不動産投資・マンション投資をしている人はプレジデントを読んではいけない
上記のことは、調べればすぐに分かることであり、防げたはずです。プレジデント社のチェック体制はどうなっているのでしょうか?
雑誌プレジデントの媒体資料を読むと、「不動産投資・マンション投資」を考えている人向けメディア的な記載がありますが、こんな素人以下の記事をリリースしておいて、よくこんなこと言えますね、恥ずかしくないんでしょうか?
少なくとも、本誌を読んだ情報を基に不動産投資は行ってはいけませんね。間違いだらけのフェイクニュースを平気で載せるのですから。
(画像出典:プレジデント媒体資料)
フェイクニュースに乗っかってタワマン叩きをする都議会議員ってなんなの?
そして、問題の都民ファーストの会所属、練馬区選出の都議会議員、尾島紘平氏ですよ。この人は本当に我々の選良ですか?
しかも責任を持ってない共◯党じゃなくて東京都知事与党???とりあえず彼のTwitterを参照します。
武蔵小杉の件に、タワマンの課題が凝縮されている。10年後には10万円を超えるという管理費は誰が払うのか。デベロッパーは建てるだけ、業者は売るだけ。リスクはない。マンション投資家も責任はとらないだろう。東京にとって間違いなく負の遺産になる。やはり規制を求めたい。https://t.co/u7dVX497ZT
— おじま紘平(東京都議会議員・練馬区) (@ojimakohei) November 30, 2019
フェイクニュースを下敷きに「10年後には10万円を超えるという管理費は誰が払うのか(キリッ)東京にとって間違いなく負の遺産になる」ってのは本当に恥ずかしい。タワーマンションの買い手、圧倒的大多数は投資家ではなく、一般の居住者であり、東京都の選挙権を持っています。
あなたが選出された練馬区でも「シティタワー大泉学園」「プラウドタワー練馬」「プラウドタワー石神井公園」「石神井公園ピアレス」「ディアマークスキャピタルタワー」とタワーマンションが建っているのだから、そこの前で「タワーマンションは負の遺産!マンション投資家も責任は取らない!タワマンは規制すべき!!」と演説してきてほしいものです。どうせしないんでしょうけど。
案の定(主にタワマン界隈から)集中砲火を浴びていますが。私はタワマンのスケールメリットが活きなくなる可能性、管理組合や建物そのものが維持出来なくなり、スラム化するかも知れない「10年後の」リスクに警鐘を鳴らしているわけで。目の前の利害しか関係のない皆さんとは立場も考え方も違います。 https://t.co/CQbpgLEw0A
— おじま紘平(東京都議会議員・練馬区) (@ojimakohei) December 2, 2019
>「管理組合や建物そのものが維持出来なくなり、スラム化するかも知れない「10年後の」リスクに警鐘を鳴らしている」
完全に余計なお世話です。タワーマンションの区分所有者で構成する管理組合は、みなさん自分たちのマンションの行く末に興味を持ち、日々管理運営をしています。もちろん一般の板状マンションよりコストがかかるのは誰もが知っています。だから何?
まるで外野が維持費を気にしてベンツやBMWに乗るな!と言っているようなものです。タワマンに住む人は普通のマンションより管理費・修繕積立金がかかることを承知しています。
また繰り返しおっしゃっている10年後のリスクというのもおかしいです。尾島さん、あなた都議会議員でしょう?当然、東京都の人口予測は読んでいるんですよね?10年後の2030年、東京の人口は今よりも増えているという予測が出ていますよ、なお、練馬区の人口ピークは2025年とのことです。
あなた、不勉強なんじゃないの!?一般都民より都議が知識なくてどうするの。その体たらくでよく議会質問ができますね。
「30年前」に建ったタワマンの「現在」の話と、私がしている「10年後」の話は全く別。経済状況も都市人口も住宅の相場も需給も全然違う。もっと言えば、管理費が10万円を超えるか超えないかがポイントではない。一方でこういう人たちが、マンションバブルとその崩壊を引き起こしたんだとは思いますね。 https://t.co/JDOpHcVfuZ
— おじま紘平(東京都議会議員・練馬区) (@ojimakohei) December 2, 2019
>「10年後」の話は全く別。経済状況も都市人口も住宅の相場も需給も全然違う。
だから、東京の都市人口は10年後増えている、という予測が出ています。当然、その時には住宅の相場も需給もかわっているでしょうね?
>こういう人たちが、マンションバブルとその崩壊を引き起こした
これなにが言いたいのでしょうか?タワマンに住む人達がマンションバブルとその崩壊を引き起こしたって意味?マンションバブルっていつの話?それリーマンショックのことでしょ!タワマン住民と何の関係があるの?
特に投資家からすれば資産価値=利害にダイレクトに影響があるので、負の側面に触れられると都合が悪いんでしょうけど。神戸市を見ればわかるように、行政はすでにタワマンの行く末に危機感をもっているし、管理組合に介入するなど対策を進めています。ブームのツケを税金で払うわけにもいかないので。 https://t.co/5a5hoTc9Sy
— おじま紘平(東京都議会議員・練馬区) (@ojimakohei) December 2, 2019
>投資家からすれば資産価値=利害にダイレクトに影響があるので、負の側面に触れられると都合が悪いんでしょうけど。
だから、タワーマンションに住むのは投資家じゃなくて、善良の市民、普通のサラリーマンも多いんだってば。嘘だと思うなら練馬区内のタワマン管理組合にお邪魔してみてください。こういうこと言うと総スカンですよ。
管理組合に介入?結構ですが、まず大規模修繕の2回目が資金不足で実施できず管理不全になりかかっている築30年超のマンション管理組合や、管理組合が無くて修繕計画が存在しないマンションについて介入してもらいたいですな!
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政治家でしたら、メディアに触れて一言コメントするなら、せめてファクトチェックしてから呟く。それくらいの慎重さは求めたいですね。このような認識のもとで政策立案とか議会質問されても困るんですよ。
住宅を上に積み上げるということは、インフラの提供口は一箇所で済むことになります。メンテナンスも一棟一律で行われるし、そのメンテ費もタワマン住民自費。だから数十年スパンで見た時、500戸の平面に広がる戸建て街と500戸のタワマン一棟でどちらが行政の負担が少ないか、答えは明らかなんですよ。
そういう視点すら持ちえない、「目の前の利害としか捉えられない尾島紘平さんとは立場も考え方も違います」と、マンションブロガーのらえもんは、声を大にして主張したいのであります。尾島紘平氏からの反論はいつでもお待ちしております。
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なお、プレジデントオンラインの記事ならびにおじま紘平氏のTwitterはすべてWeb魚拓を取っています。消しても無駄です。
プレジデントオンライン:
http://archive.is/3aJRu
http://archive.is/GIlhZ
http://archive.is/UzFvm
おじま紘平Twitter:
http://archive.is/8q99F
http://archive.ph/WmqTk
http://archive.ph/eR6j5
http://archive.ph/r7YoK
管理費と段階的に値上げされる修繕積立金の合計が10万超えると言いたかったんですかね。
のらえもんさん
いつも楽しく拝読しています。
おじま紘平さんにtwitterのコメント欄でで質問を繰り返していた@yasu12030624です。
ついにブロックされちゃいました。
まともに答えられないからブロックするなんてダサいやつですね。