ケーススタディ集

タワーマンションと板状マンションで価値騰落率が変わってくる?

のらえもんへ購入売却相談依頼フォームには、カジュアルなものから真剣なものまで様々コメントが届くのですが、先日以下の質問が私に寄せられました。個別で返信するのではなく、ブログエントリでお答えします。

のらえもん様

以前、◯◯タワーや中古マンション購入についてご相談させていただいた際には、誠にありがとうございました。

本日のご相談は、以下のことをお聞きしたかったのですが

①タワーマンションの減価推移の目安
②板状マンションの減価推移の目安

理由は、タワーマンションと板状マンションの新築価格や中古市場、保有コスト(修繕積立費他)の違い等により、
取得後の減価推移にも違いが出るのではないかと考えました。
(一般的には、年2%減価と聞いております。)

(中略)

うーーーーーん、これズバッと答えるのは難しい質問ですね。とりあえず、タワーマンションと板状マンションでその後の資産価値が変わってくるか?について考えてみましょう。

「減価推移」という言葉、ご質問者はパーセンテージで使われていましたが、一般的には価値騰落率と呼ぶべきかもしれません。10年、20年といった区切りで価値がどれくらい上下したのか、それにより傾きが出てきます。

騰落率の有利不利はさまざまな切り口の統計が公開されています。

  • 最寄り駅駅徒歩分数別
  • 総戸数別
  • 建物階数別
  • 沿線別
  • 売主別
  • 専有部方角別
    など・・・

このあたりのデータは、住まいサーフィン東京カンテイがデータを様々な場所で公開されていますからそちらを参照なさって下さい。中古マンション価格はタワーマンションは鉄板であるとか板状マンションは減価割合が大きいとか一概に言えるものではなく、上記要素の掛け算であります。過去のデータを参考にして資産価値の維持重視で行くなら「駅近でなるべく大規模で、かつブランド力を持つ売主から買え」って結論になります。これは過去私が書いた「本当に役立つマンション購入術」と同じ結論で、あの本には「タワマンを買え」とは書いてません。

ご質問のような、「タワマンと板状」の有利不利の計測ってのは、街の中にタワマンと中小規模マンションが混在する街でしか実際には測ることはできなさそうですね、そうなると写真に挙げた台東区池之端くらいがサンプルとしてはちょうど良さそうなのですが…ごめんなさいこのエントリ書いてる途中で投げました。というのも、過去の分譲価格を全部調べてマンション毎に今の成約価格との照合を物件ごとに調べるなんて私の手持ちデータでは難しいからです(どこかのサイトから分譲時価格をスクレイピングしてってのも考えたのですが、手間がかかりすぎる)。もしくは「タワー&レジデンス」のようなタワマンと板状が混在する事例(キャピタルゲートプレイスや中央湊、勝どきザタワーとリバーフロントなど)もありますが、個別性が高すぎます。

ザ・タワーとザ・リバーフロントの位置関係。画像出典:勝どき ザ・リバーフロント公式Webページより

従来のタワーマンション騰落率が高かったのは、そもそも建設費が高いタワマンを建てるにあたり「便利な駅の駅近で、そのエリアでも一番の大規模物件」という上記騰落率的にはポジティブな要素が多い物件が多かったからで、本質的にタワマンの方が優れているわけではありません。

ということでご質問者へのご期待に答えるのは難しいのですが、私の直感だけで申し上げれば、「もし同条件の立地・規模・売主ならタワーマンションの方が騰落率は良いはず、その一部は維持費の高低で調整されるが、それでも【維持費の差額総額】<【物件価値減少幅】の範囲に留まる。なぜなら物件そのもののシンボリック性というあまり見えないファクターが存在するから」でしょうか。

立場を新規検討する中古検討者の立場になって考えると、「わかりやすいシンボル」ってのは結構重要です。タワーマンションが持つ、階高のあるエントランスや豊富な植栽、セキュリティの高さなどは従来の板状マンションに比べるとより魅力的に写ることが多いのです。ただし、数十年後の修繕積立金が上がりきった状態でもなおそう言えるかというのは微妙ですけど・・・早期に修繕積立金徴収をフラットへ変更しているマンションはエラいですね。普通のタワマン管理組合はそうしないので、沖さんが言う「10年で売れ!」は純粋な資産防衛論で語れば正しいことになります。

P.S.
しかし、本当に贅沢なのはこうした大規模タワーマンションが持つような要素を低層・小規模マンションで実現している高級住宅街にある事例なのですが・・・ほとんどサラリーマンに手が届くものではないので、割愛しましょう。

 

あなたの不動産売却に、ひと肌脱ぎます。
↓↓湾岸エリアでのマンション売却をお考えの方はこちらから!↓↓

↓↓お仕事や取材の依頼はこちら↓↓
(所属先の株式会社新都市生活研究所のWebサイトへ飛びます)

関連記事

  1. ケーススタディ集

    【ケーススタディ集】年収1000万円からのマンション購入

    気軽にTwitterの質問を受けられるサービスを、ask.fmから質問…

  2. ケーススタディ集

    「住宅ローンの頭金はどれくらいが適当ですか?」:ケーススタディー集

    このケーススタディ集は、のらえもんに実際にあった相談を元に、情報をぼか…

  3. ケーススタディ集

    湾岸暴落の記事と湾岸高騰の記事、どうお考えですか?

    実際に寄せられた相談を元にのらえもんの返信を公開シミュレーションをする…

  4. ケーススタディ集

    【ケーススタディ集】機械式駐車場のコストが不安です

    のらえもんのケーススタディ集です。こちらのコンテンツは、のらえもんへの…

  5. ケーススタディ集

    小田原から東京都内へ新幹線通勤はおすすめ?可能性について考えてみた話

    1週間ほどブログにログインできない状態が続きました。更新が滞りがちです…

  6. ケーススタディ集

    湾岸の地域によって中古の売れ行き差はあるのでしょうか?

    実際に寄せられた相談を元にのらえもんの返信を公開シミュレーションをする…

コメント

  • コメント (1)

  • トラックバックは利用できません。

    • 野村恒雄
    • 2017年 10月 30日

    この数ヶ月で2部屋を売却をしました。
    一部屋は1ヶ月。
    二部屋は2ヶ月で売れました。何もレインズに掲載後からです。
    最上階と高層階で、眺望あり。キャピタルゲインは2部屋共に出ました。
    投資や相続目的等で世の中には、お金持ちは意外に多いらしく、2部屋共に現金購入でした。
    根付が適正で、高層階、そして眺望が確約された物件であれば、直ぐに売れるんだなと実感した次第です。
    新刊購入させて頂きました。

のらえもんにお仕事や取材を依頼する!

お知らせ

過去の記事(ランダム)

カテゴリー

  1. ブリリアマーレ有明

    【成約済】BrilliaMare有明 TOWER&GARDEN 2LDK+N/7…
PAGE TOP