国土交通省・東京圏における今後の都市鉄道のあり方に関する小委員会における「東京圏における今後の都市鉄道のあり方について」という資料が公開されました。
東京湾岸地区のさらなる交通インフラ整備、データ上は前向きに捉えても良い内容となっています。今回、公開されたデータより、私のブログの守備範囲である「羽田空港アクセス線」「京葉線・りんかい線相互直通運転化」「都心部・臨海地域地下鉄構想の新設及び同構想と常磐新線延伸の一体整備」「東京8号線(有楽町線)の延伸(豊洲~住吉)」の4路線を取り上げます。ちなみに、政策課題への寄与度のランク付けですが、4段階評価で「◎+ 寄与度特大、◎ 寄与度大、○ 寄与度中、空欄 寄与度小」となっています。
羽田空港アクセス線
総事業費(億円):3,400
政策課題への寄与度
■混雑緩和◎
■速達性向上 ○
■都市機能の高度化
■空港幹線駅アクセス◎+
■シームレス化 ○
■災害時の輸送対策/列車遅延対応 ◎
累積資金収支黒字転換年:18年~18年
意義:羽田空港と国際競争力強化の拠点である都心や新宿、渋谷、池袋、臨海部等副都心とのアクセス利便性の向上。
黒字転換年が18年とこの中で挙げられているプロジェクトの中では最も早いプランです。羽田へのアクセスが飛躍的に向上しますね。私としてもできれば早く着工していただきたいプランです。
京葉線・りんかい線相互直通運転化
総事業費(億円):-
政策課題への寄与度
■混雑緩和
■速達性向上
■都市機能の高度化 ◎+
■空港幹線駅アクセス ○
■シームレス化 ◎+
■災害時の輸送対策/列車遅延対応
累積資金収支黒字転換年:-
意義: 国際競争力強化の拠点である臨海副都心と舞浜地区・幕張新都心地区とのアクセス利便性の向上。
りんかい線ができた当初からずっと言われているプランだと思いますが。事業費もほぼかからないし、はよやれとの催促かな?とも思いましたが、上記の羽田アクセス線とセットで、というのもあるのでしょうね。ネックは2つ。りんかい線の借金の面倒を誰が見るのか・京葉線ルートとの運賃の差をどうするのか、です。後者はJRりんかい線買収すればJR東が決められることですが、借金については東京都と話しあいでしょうねぇ。多分ここが一番のネックかと。
都心部・臨海地域地下鉄構想の新設及び同構想と常磐新線延伸の一体整備
総事業費(億円): 6,500
政策課題への寄与度
■混雑緩和 ◎
■速達性向上 ◎+
■都市機能の高度化 ◎+
■空港幹線駅アクセス ◎+
■シームレス化 ◎
■災害時の輸送対策/列車遅延対応 ◎
累積資金収支黒字転換年:18年~19年
意義:国際競争力強化の拠点である都心と臨海副都心とのアクセス利便性の向上。
政策課題への寄与度はまさかの満点!!!常磐新線東京延伸・臨海地域地下鉄構想は個別のプロジェクトでも書かれていますが、こちら単独事業だと、総事業費は安くなるものの、累積資金収支黒字転換年は伸びてしまうので、アイデア出してあげたからはよ実現しなさいとの後押しかと考えます。あとはTX沿線自治体が後押しするかどうかでしょう。これ、思ったより早く進むかもしれません。あと最終段となる江東区ェ・・・
一方、地域住民が望んでいない「江東区ロープウェイ構想(笑)」にはずいぶん熱心なご回答です。
何を考えているのかわかりませんねー。一方、江東区が熱心な東京8号線はこちら。
東京8号線(有楽町線)の延伸(豊洲~住吉)
総事業費(億円): 1,500
政策課題への寄与度
■混雑緩和 ◎+
■速達性向上
■都市機能の高度化 ◎+
■空港幹線駅アクセス
■シームレス化 ○
■災害時の輸送対策/列車遅延対応 ◎
累積資金収支黒字転換年:25年~26年
意義:国際競争力強化の拠点である臨海副都心と都区部東部の観光拠点や東京圏東部・北部地域とのアクセス利便性の向上。
豊洲-住吉線は混雑緩和と都市機能の高度化に最大評価が付けられました!ネックなのは事業負担のあり方や事業主体の選定、つまり東京メトロがどういう形で関わるかの決着がまだついていないということでしょうね。また沿線自治体は江東区と墨田区しかないので、お金の出し手・分担をどうするのかと。ただ、羽田アクセス線を除けば一番早く着工しそうではあります。
都心部・臨海地域地下鉄構想については本日(7/20)中央区ホームページに以下のような資料が出ました。
http://www.city.chuo.lg.jp/kankyo/keikaku/tikatetukentou.files/houkokusho.pdf
調査報告書(概要版)とのことですが、これまで公表されていたものよりも詳しい内容かと思います。想定ルートや中間駅位置などがわかります。
ルートとしては晴海までは晴海通り直下かやや環状2号より、新市場付近からは環状2号直下という想定です。
中間駅は、築地と新市場は確定、勝どきと晴海は2駅とするか統合駅か未定、となっています。
事業費的には、「晴海通り直下・標準深度・支障物回避ルートかつ中間駅3駅」の2580億円が答申にある2600億円に近くもっとも高いですが、少しでも安くするなら「晴海通り直下・大深度ルートかつ中間駅3駅」の2410億円となります。
ただ大深度では不便ということで利用客は少ないと予測、収支採算性や便益では「晴海通り直下・大深度ルートかつ中間駅3駅」が最も有利とされ、これが最有力候補ということではないでしょうか。
東京メトロは新線建設を打ち止めと明言しているので、(http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11116695116)8号線については「江東区サンがおやりになるのならどうぞ」というスタンスでしょうね。豊洲以西、有楽町線まで直通運転すれば東陽町乗り換えで東西線朝ラッシュ緩和策にもなりますが、当のメトロが今やっている東西線大規模改良工事との整合性が取れなくなるから直通運転は拒否するでしょう。であれば、同区間は短編成の列車でも輸送量オーバーになるし…。
「財政支出を3兆円超に財政投融資や民間事業でかさ上げで事業規模20兆円超、インフラ整備が主体で複数年度にまたがることで見かけ上の規模を大きく」のような記事も出ています。
早目に黒字化が見込める事業を総動員するつもりなのかも?
コメントに誤りがありました。
都心部・臨海地域地下鉄構想で、収支採算性や便益でもっとも有利なのは「晴海通り直下・標準深度ルートかつ中間駅3駅」のB-2案でした。
ただ、これは首都高晴海線の都市計画変更前提なので、実現可能性がより高いのはA案と位置付けられているやや環状2号寄りのルートかもしれませんね。