Airbnb(以下、エアビー・エアビーアンビー等記載)について、私はあまり態度をはっきりさせてこなかったのですが、先月今月と立てつづけにエアビー絡みの質問が来ましたので、拙ブログでも触れることにします。
収益還元価値で考えればAirbnbはタワーマンション全体の価値を向上させませんか?
Q:
いつも楽しく拝読させていただています。
エアビーアンビーについて質問させてください。純粋に投資問題として運用利回りが倍になる手法があるなら、収益還元法的考え方によれば不動産価値は増大していると考えた方がようのではないでしょうか。エアビーを禁止したブリリアマーレ有明のような事例がありますが、利回りが通常賃貸の水準に固定される禁止マンションは資産価値の上昇が見込めないのでは?投資マネーが流れ込み、アップサイドが見込めるマンションとなれば価格に将来反映されることはないでしょうか?
A:
このブログの読者の方にはおなじみだと思いますが、Airbnbのサービスについて軽く説明すると「自分の部屋の一室、もしくは全部を人に貸すための仲介サイト」です。普通、部屋を賃貸で出すには、「一室」単位ではなく「全部」のみですし、年単位の契約が基本です。このサイトでは1日・1室単位で貸すことができるのです。
エアビーはたしかに、年単位の通常賃貸(普通建物賃貸借・定期建物賃貸借)よりもかなり収益が高くなると言われています。しかしこれは、法律の枠線の中で勝負しているか外で勝負しているかの違いであって、「借地借家法」と「旅館業法」をきちんと読むと現状合法とは言い難いサイトです。ただし、東京や京都ではホテルを取ることが難しくなっている現状がありますし、政府は増え続ける訪日外国人の宿泊対応として民泊拡大へ規制緩和をしようとしているのも事実です。
以上を踏まえた上で、私はこう考えます。
1:「不安」という漠然とした、だが微妙で慎重さを要する問題
ご質問者は、投資という観点で物件価値が上がるのでは?と考えていらっしゃいますが、分譲マンションは実際に家族の住まいとして購入される方が大多数です。
小さいお子さんをお持ちの家庭が、多額の住宅ローンを抱えて暮らしているところに、両隣がエアビーを始めて毎晩違うゲストが泊まることに対して不安で怯えていることを考えてみましょう。「資産価値が上がるんだからエアビーオッケー、不安なら買った時より高く売れるんだから出ていったら?」と言えますか?
区分所有法の精神によれば、オーナーが議決権を持ってルールを決めることができます。不安と感じる住民が多く、エアビー禁止規約を制定するなら外野がとやかく言う問題ではありません。そして、投資と居住はしばしば対立するものです。
↑Airbnbを検索すると湾岸マンションいっぱい出てきますね。
2:そもそもタワーマンションは不特定多数を泊めるようにできていない問題
たいていのタワーマンションですと、3~4回のキーチェックがあり、その「安心」が一つの資産価値であることは間違いありません。エアビーはそのセキュリティを完全に破壊しまてしまいます。それでもよいのでしょうか?
3:管理費・修繕費フリーライダー問題
日本の住まいに不慣れな外国人が大挙して泊まるようになると、トラブルは激増しますし、施設の使い方も荒れるでしょう。トラブル対応のために警備員を増員したり、荒れた施設の修繕に費用がかかるとなっても、エアビー投資家も居住世帯も等しく按分負担となります。
となると、フリーライドしていることになります。
のらえもんは、Airbnbが法律に違反しているから云々(しばしばそれは、憲法と安全保障の議論と似た問題と感じる)という前に、押し寄せる訪日外国人に対して宿泊施設が圧倒的に足りないという現実もやはり考慮に入れるべきだと思います。しかし、それは政府や地方行政が一律OKにするのではなく、区分所有者自身が多数決で決めるべきことかと考えます。
ご質問への私なりの回答ですが、棟内のフリーライダーが一定数を超えると運営が破綻し、マンションの価値は一気に下がるでしょう。ということで、「禁止マンションと推進マンション(もしあるとすれば)」で資産価値の差が出るとしたら最初の成約値については推進側が上がるかもしれませんが、匿名掲示板やテレビで怨嗟の声が上がるとき、全体の価値が一気に落ちると考えます。皆が実需で購入し住むようにできているマンションは運命共同体ですから、近隣を裏切る民泊は制度上向いていないのです。Airbnbオーナーがほとんど顔出しNGなのも、隣近所に言えないからでしょう。
民泊は、都心の投資ワンルームマンションや一軒家、もしくは自社ビルなどには向いていると思います。
P.S.
下書きで保存していたつもりが、公開していたようです。結論部分を追加しました。
>区分所有法の精神によれば、オーナーが議決権を持ってルールを決めることができます。
これって分譲オーナーが自宅を貸すことさえ禁止できるんですかね?あくまでお願いレベルの決定しかできないように思えるんですが・・・
バーラウンジ等共有部分に関してはマンション住民全員の持ち物ということで使用禁止とか無理矢理理屈はつけられそうですが
分譲マンションの実需の所有者の立場で民泊を考えると反対です。
何千万の住宅ローンを背負って買ったマンションを、ホテルのように不特定多数の人間に安価に利用されるのはあり得ないことだとと思います。
共有部でいろんなトラブルが起きた結果、スカイラウンジなどの豪華な共有施設は登録者(フロントで鍵を管理し、免許証等で住所を確認し住民にしか鍵を貸さない)しか利用できないようにコントロールするようになるかもしれません。
特にセキュリティが無意味されるので、実際に住んでいる人にメリットは何もないと思います。今後ないことを祈りたいですが、いつかストーカーが民泊を利用してマンションに入り込み事件を起こすことが容易に想像できます。。。
民泊が解禁されるらしい大田区の状況に注目ですね。
そもそも日本は狭いので民泊なんかせずとも新幹線で一時間もあれば熱海や越後湯沢などの観光地に移動できるので、そこのホテルを利用すれば良いと思います。地方のホテルにもお金が落ち良いことだと思うのですが。。。
一般の居住者よりairbnbのゲストの方が、共用施設を壊したり、警備員を増やすことになる、という根拠やデータはどこにあるのでしょうか。airbnbのゲストはそもそも共用施設を利用する頻度は低いように思えます。
むしろ逆で、駐車場や利用料をとる共用施設が使われないため、管理費の収入が減るということは、あると思います。
料金設定が安くなりそうな場合には、資産価値向上にはなり難いので、管理組合で禁止した方が良いかも知れません。
高級ホテルの宿泊客と、格安ホテルの宿泊客では、傾向に違いが有ると思います。
容認するのであれば、ゲストルームの様に有償でサービス提供し、上の価格設定を狙う方向もありかと。
同じように都市部集中型のイギリスとかはどうしてるんだろ
オーナーの立場から見れば、より多くの賃料を得たい人。既存住民の生活を考慮して通常の賃貸契約をする人と色々の考えがあるでしょうが、私は反対ですね。風紀、衛生上の問題の他、基本的に分譲マンションには不向きと思われます。一棟丸ごとのオーナー等には向いているかもしれませんが。
都心みたいなホテル不足が深刻なところではどんどん広がりそうだなぁ
実需で住んでる人には申し訳ないけど
オートロックは、実際には宅配や運送から出前まで不特定多数が入ってくるので、ヤマト運輸などに配送を統一させるなどの手を打たないと、侵入者を防ぐ効果は充分では無いかも知れません。
執着心の強いストーカーに対して、多くの賃貸募集が出ている大規模な集合住宅では、大きな抑止効果を期待するのは無理があると思います。
有人警備の小規模億ションで、2戸1で2扉の仕様のエレベーターなら、ご心配は減るのでは。
漠然とした不安は普通の賃貸で入居する人が水商売の人とか外国人とか、犯罪歴のある人とか、が入居する場合もあるので、エアビーアンドビーを禁止したら解消できる問題ではないのでは。普通の賃貸で入居された場合は追い出したくても居座られる可能性がある分、短期で出て行く旅行者よりたちが悪いです。そもそもそうした不安を完全に払拭したい人は最初から戸建を買うべきです。エアビーアンドビーで警戒すべきは旅行者よりもむしろ国内の、日本人の短期利用者のほうでしょうね。
↑
>そもそもそうした不安を完全に払拭したい人は最初から戸建を買うべきです。
確かにそうだね
完全に自分の理想どおりにしたいならそれしかない
結局他のお金出してる分譲オーナーと権利がかち合った場合100%は通らないからね
真面目なオーナーなら、戸建てを購入する位の資産はあるでしょうし、既存の住民の方を尊重した契約をするでしょうね。そう言ったオーナーがより多い有明のマンションであって欲しいなと思いますね。
民法では
所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。
とあります。
そして、定期借家法があり、マンションの一室を短期で賃貸することは、蒸気のように 所有物の使用、収益 うんぬんとある広く認められた権利です。
外国(ヨーロッパ)でマンションを借りた経験が数回ありますが、すべて賃貸借契約書に基づいていました。そして保険も掛けます。
マンションを短期で貸し出す場合は賃貸契約書にサインしてもらいましょう。
宿泊施設ではなくフロントもない住居なので旅館業法の適用はありません。すでに多くあるウイークリーマンションと変わりません。
ただし、近隣住民に迷惑をかけぬよう、オーナーがアテンドし入居に際して利用方法やルールを説明し、国際交流の一環として手厚い対応をしなければいけないと思います。
また、マンションの標準管理規約には もっぱら住居の用に供する とあります。短期滞在でも立派な住居の用です。この規約からすると、事務所利用や教室利用は不可です。でも、沢山の人がすでに事務処理用や人を集めての教室利用もしています。なかには風俗店もありますね。笑
そもそも共同住宅なので不特定多数の人が出入りするものです。海外ではホテルの通路もそういう認識なので問題はおこらない。マンションの共用通路や周りの出入りはどちらかというと住民の自治会での問題としての捉え方も必要かと思います。
そして、迷惑を実際にこうむった事例をしっかりと把握せず流言だけが回り不安をあおっているように思います。
そもそも一部のモラルのない業者が大量に団体等を送り込むような儲け主義でホテル利用しか考えていないのが不幸な状況に追い込んでいると思います。
海外ではもうホテルに泊まる気はしません。Aibnbn等で滞在すれば地元の市場で買い物をして自分料理が出来たり、近隣住民と交流のできる素晴らしい体験が住宅を借りることで出来るからです。
そういう適正な方向に進んで欲しいとおもいます。
>>ヨッシーさま
私とは考え方を異にしていますが、反論は特にいたしません。民法と区分所有法についての関係について無理解だと思われます。どうぞご自身のブログにて見解を開陳すべきだと考えます。
標準管理規約の、もっぱら住戸の用に供する
こちらに関しては短期滞在も住戸の用と解釈する方は
少数ではないでしょうか。
現在、大阪の判例や解釈の相場としては
もっぱら住戸の用とは
生活の本拠であるか?
が大きな軸であり、民泊は当然生活の本拠ではないため
旅館業法による規制の対象内かつマンション管理規約を完全に遵守していない場合
他の住居者から申し出があれば、管理組合・保健所は
民泊利用の停止を求めるスタンスを取ると考えられます。
タワーマンションは地方の小規模な自治体に匹敵する人口を
有しており、一定のマンション世論を味方につけられないのであれば
資産価値の低下を招くと議決されてしまえば最後には
必ず負けます。
民泊によって個人の利益の追及を求めるには
おおよそ最悪の環境なので止めたほうがベターです。