有明テニスの森駅を降りると、目の前に広がる巨大な空き地。ブリリアマーレ有明やブリリア有明スカイタワーの北西側正面となる、あの更地です。「ここに何が来るんだろう?」と気になっている有明住民の方は多いのではないでしょうか。なお、アイキャッチの画像は2021年のBMX会場となったときの様子です。
Xでもいろんな予想が挙げられているのでのらえもんとしても真剣に考えた結果をまとめてみました。
実は2026年3月、東京都港湾局からこの土地の公募要項が出ています。正式名称は「臨海副都心 進出事業者公募要項(有明北地区1-6・1-7区画)」。応募受付は2026年6月、事業予定者の決定は8〜9月の予定です。

今回はこの公募要項を全文読み込んだ上で、何が来る可能性が高いのかを真剣に考えてみました。
目次
公募要項から読み取れる条件
要項を全文読んだ上で、「これを知らないと話にならない」条件だけ抜き出します。
- 敷地面積:1-6区画 24,645㎡ + 1-7区画 20,922㎡(一体利用可、合計で東京ドーム約1個分)
- 月額賃料:1-6区画 2,140万円 / 1-7区画 1,720万円
- 貸付期間:おおむね10年。更新なし、原状回復義務あり、建物買取請求不可
- 建物制限:原則2階以下、地階なし、高さA.P.+30m以下(実質地上23〜24m)
- 構造制限:木造・鉄骨造・CB造など「容易に移転・除去が可能」なもの
- 居住用不可:タワマンも賃貸マンションも一切建てられない
- 主たる機能は「文化機能」に限定:世界にアピールできる先進的な施設であること
要項には「今後の都市基盤整備の方向性がより明確になるまでの期間」の有効活用と明記されています。つまりこれは将来の本格開発までの、つなぎとしての暫定活用となります。そしてコストコやアウトレットモールなどは「商業施設」であり、「文化機能」ではありません。住民としてはショッピングセンター的なものが来てくれたら嬉しいかもしれませんが、この公募ではそもそも応募条件を満たさないのです。
では、どんなものが「文化施設」なのか…?半ば先ほどのリンクにある別紙に東京都の考え方が変えてあり、半分答えが書いてあるのですが…
東京都はベイエリアにおいて、「新しい何かと出会える」世界を魅了する都市を実現するため、テクノロジーと感性が高度に融合された、芸術文化、スポーツ、エンターテインメントなどの世界有数の発信地を目指し、まちづくりを進めている。(中略)
この方針に基づき、区域内では有明アリーナや有明親水海浜公園が立地するなど、スポーツ、エンターテインメントなどの機能導入が進んでいる。
これまでのまちづくりも踏まえ、有明テニスの森駅周辺の1-6、1-7地区において、芸術文化などの発信地として世界を魅了し、活気とにぎわいのある市街地を形成するため、周辺環境と調和を図りながら、国内外から多くの人が訪れ、世界にアピールできる文化機能等の導入を図るものとする。
一番のネックは賃料
1-6区画(有明テニスの森駅に近い側)だけで月額2,140万円、年間約2.57億円。1-7区画でも年間約2.06億円。一体利用なら年間約4.6億円。これを10年間払い続けなければなりません。
「文化施設」でこの賃料を払えるプレイヤーは、実はほとんどいません。一般的な美術館や博物館は入場料だけでは赤字で、自治体の補助や財団の基金で運営しているのが実情です。年間2.5億円の地代を文化施設として自力で稼ぐのは、並大抵のことではありません。
文化施設でこの賃料が見合うとすると、ビジネスモデルが2つしかない
この賃料を支えられるビジネスモデルは、突き詰めると2種類しかありません。
①入場料モデル:大量の来場者からチケット収入を得る
客単価3,000〜4,000円で年間100万人以上を集められる施設。年商30〜40億円規模であれば、地代2.5億円は売上の6〜8%となります。現実的には年間200万人以上、年商60億円以上を狙えるレベルでないと事業として成立しなさそうです。
②広告費モデル:企業がブランディング予算として地代を負担する
地代の年間2.5億円+建物運営費を「広告宣伝費」として計上できる大企業が、体験型ショールーム+文化発信拠点として運営するパターン。この場合、施設単体での収支は問わず、企業全体のブランド価値向上で回収する考え方です。
本命は①入場料モデルのチームラボプラネッツ東京の移転受け入れ
私が最も可能性が高いと考えているのは、豊洲にあるチームラボプラネッツ東京の有明移転です。

豊洲のチームラボプラネッツは2027年末で会期終了が発表されています。2018年の開業以来、何度も延長を繰り返してきましたが、今の豊洲の土地もまた暫定利用であり、いずれは返す必要があります。
時系列を並べてみると、あまりにもきれいにつながります。
- 2026年6月:有明北公募の応募受付
- 2026年8〜9月:事業予定者決定
- 2027年末:チームラボプラネッツ東京会期終了
- 2027〜2028年:設計・建設
- 2028年〜:有明で次世代版オープン → そのまま約10年運営
さらに、公募の建築条件がチームラボに極めて有利です。この施設に行ったことがある方ならわかると思いますが、
「2階建てもしくは3階建てで地下不可。低層で大空間が必要」→現在の豊洲と同じ姿
「文化機能」→チームラボの施設自体が、「世界にアピールできる先進的な文化施設」。いまでも日本人よりインバウンド客のほうが多い
現状の豊洲の敷地面積は1万平米なので、豊洲の2〜4.5倍となります。現状では難しかったイベント広場、バス駐車場などが併設可能ともなります。

何より、チケット収入でこの賃料を払える集客力がある。チームラボプラネッツ東京は2025年の来場者数が251万人。インバウンド比率も極めて高く、世界にアピールできる。現状の入場料4,000円で年間251万人なら年商100億円+グッズ販売などを考えると、年間2〜4.5億の地代を払っても事業として楽に成立します。
他の可能性
チームラボ以外の候補も考えました。
入場料モデル
①IP系の体験型テーマパーク
ポケモン、集英社(ジャンプ)、カプコン、任天堂などのIP企業による大型体験施設も考えられます。ただ、ポケモンは各地にポケモンセンターがあり、よみうりランドにも新しい施設ができたところなので難しいかもしれません。集英社・任天堂はUSJと定期的なコラボコンテンツを実施していますが、空白地の東京に持ってくるというのはある。特に任天堂ならDeNAと組んでもしかして…と思わなくもない。ただこれらの企業が、10年で撤去を前提とした大型投資に踏み切れるかは不透明です。なお、大きさ的には、世界的に広がっているeスポーツの常設アリーナなども考えられなくはないですが、賃料や収益性を考えるとチームラボのほうが絶対に有利です。
②大手広告代理店やテレビ局、大手デベが参画するイマーシブ体験施設
公募資料ではSPC(特定目的会社)を活用した形も書かれていました。「クレヴィアベース東京」などのイマーシブ系の常設シアター、没入型エンタメ施設です。企画力は高いですが、チームラボ級に稼げる収支計画を組めるかがひとつのハードルではないでしょうか。最近、お台場・有明エリアには、東京ドリームパークやTOYOTA ARENA TOKYOなどの人を集める施設が続々とオープンしていることもあり、この可能性もあると思います。クレヴィアだけでなくBrilliaランニングスタジアムなど、マンション冠名を付けてデベが宣伝施設っぽく使う可能性も考えられます。

クレヴィアベース東京 公式Webサイトより
広告宣伝費モデル
③ソニーの体験型文化施設
2019年に閉館したお台場の「ソニー・エクスプローラサイエンス」の復活。広告費モデルだと最も自然なかもしれません。PlayStation・音楽・映画・カメラなどのホールディングスですから、「テクノロジーと感性の融合」のコンテンツの提供主としてはぴったりです。年間2.5億円はソニーにとって広告費の一部に過ぎません。
④トヨタ・ホンダなどの体験型文化施設
トヨタは2021年にお台場のMEGA WEBを閉館しており、「次世代モビリティ×文化」の体験拠点を東京エリアに求めている可能性はあります。トヨタ以外だとホンダくらいしか考えられませんが…
最大のネックは交通アクセス
地代から逆算する限り、入場料モデルでは年間100万人以下では割に合わないため、この有明の立地に人集めるとなると、最大の課題は交通アクセスとなります。東京駅丸の内南口から豊洲有明方面の都バス(都05-2)がチームラボプラネッツ東京に向かうインバウンド客で積み残しが頻発していますが、都心直結のアクセス手段がない有明は更に細くなります。
最寄りとなる有明テニスの森駅はゆりかもめの駅で、1編成6両あたりの定員は約300名の小型車両。一方、チームラボプラネッツ東京は新豊洲駅(ゆりかもめ)に加えて豊洲駅(有楽町線)という大動脈を持っていました。有明には有楽町線が来ません。そして、有明の大動脈であるりんかい線の国際展示場駅からは徒歩10分近くかかりますし、東京東側からのアクセスがとにかく弱い。
既に、有明アリーナ(キャパ1.2万人)・東京ガーデンシアター(キャパ8000人)がエリア内にあり、輸送力の増強が喫緊の課題となります。現状でさえ土日は逼迫気味のところにさらに年間数百万人規模のインバウンド施設を有明に作るなら、TOKYO BRTの増便・ルート拡充がほぼ必須条件になります。BRTは新橋と有明間の輸送力を担える現状唯一の手段です。ただし、BRTの連結バス定員は117名、単車で73名でありゆりかもめと一桁近く輸送力が劣ります。アリーナ・ガーデンシアター・GYM-EX・コロシアムがフル稼働となり、更にこの施設が大人気となる…未来があると、2028年くらいにはBRTを自動運転に切り替えて、頻度を高い運行にしていかないとパンクする未来しかみえません。

輸送力的に、現状のBRTは1時間あたりの輸送力が数百人レベルであり、非常に心もとない。あと、旅行者が使うGoogleMapにBRTルートはほぼ表示されない。(画像出典:TOKYO BRT 公式Xより)
公募要項でも交通対策は重要な審査項目になっていて、事業者には来訪者数の推計、交通手段別のシミュレーション、交通事業者との協議が義務付けられています。つまり都もこの問題を認識していて、事業者に解決策を求めているわけです。逆に言えば、BRT事業者と連携して交通計画をしっかり組める事業者が、審査で大きく有利になるでしょう。
まとめ
有明北の公募は、2026年8〜9月に事業予定者が決定する予定です。要項を読み込むと、コストコやアウトレットは応募条件を満たさず、タワマンも建てられない。10年限定・低層・文化機能という厳しい条件の中で、年間2億円超の賃料を払い続けられるプレイヤーは極めて限られます。
賃料・逆算した収益性・公募目的などを総合して考えると、2027年末に会期終了を迎えるチームラボプラネッツ東京の移転が大本命だし、募集要項を見る限り出来レースくらいと私は見ていますが、もちろん違う可能性もある。代表の猪子さんが東京に2つはいらない、と言い出すかもしれない。いずれにせよ、今年空きの発表は周辺住民にとっては生活環境に直結する大きなニュースとなります。






















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