2020年東京オリンピックの仮設競技場である有明体操競技場や、有明第二小中学校の建設予定地、約35haの広大な土地は実は平成12年~17年に埋め立てられた新しい土地となります。東京都はこの埋め立て費用に400億円、起債利息120億円を計上して埋め立てました。
1989年の航空写真を見ればわかるとおり、もともとは貯木場として使われていた場所ですが、臨海副都心計画ではこの土地は順次移転して住宅地になっていくので、35haの護岸工事が十分に行われていない海辺など必要ありません。そのため、臨海副都心計画の当初よりこの場所は埋め立てることが決まっていました。
埋め立て理由は、「職と住のバランスのとれた都市の建設」「水辺空間の整備」が目的です、バブル崩壊後失敗が明らかになっていた計画に追い銭を払うようなこの埋め立て事業に対しては厳しい批判の声も上がりましたが、東京都は「公費をいっさい使わない」との名目で事業を行いました。2016年の今でも空いてる土地がいっぱいあるな?とも思いますが、臨海副都心計画上、有明北地区は38,000人が住む居住地区と定められていて、この人口を誘導するには土地が足りなかったのです。ネットの海を検索すれば、当時の港湾局が思い描いていた最終像が見えてきます。↓
画像出典:FORUM 8 ユーザー紹介第50回「東京都港湾局」より。予想CG作成とはいえ、ヤケクソ気味に建てすぎでしょ。ただ、38,000人の人口はコレくらい建てないと達成されない無理ゲーです。
こんな風に建てばまた違ったんでしょうけどね。
平成17年度に埋め立て事業は終了しましたが、ご承知の通り、すんなりと高層住宅の建築は進みませんでした。今度は2016年の東京オリンピック招致活動が始まります。招致ファイルではこの広大な土地に選手村を建てる計画となりました。
2009年の活動終了までこの土地は塩漬けになることになったのです。
しかし、2016年の招致活動は「選手村が狭い」という指摘で落選となりました。2020年招致活動はその反省を踏まえて、より広い晴海ふ頭に選手村が移り、有明北の埋立地は仮設競技場を受け持つことになりました。
この土地が無ければ、2020年の東京オリンピックのお題目の一つ「コンパクトな開催計画」はありえなかったわけで、結果的に見れば埋め立て事業は社会的な意義があったのでしょう。
しかし、2020年の競技場構想もまた頓挫します。招致活動のときに見積もった建設費がずさんすぎて費用が足りなくなったからです。結局、有明ベロドロームの建設はキャンセルされ、有明体操競技場は有明アリーナの隣に、有明BMXコースは有明テニスの森駅西側に建設されることになっています。
有明体操競技場建設予定地↓
有明第二小中学校建設模型
残りの土地がどうなるのか、また仮設競技場の跡地に高層マンションが建てられるのか、まだわかりませんがこの奇妙な変遷を見るとまだ二転三転しそうな雰囲気ですね。
ちなみに、港湾局が発表している資料では2020年後の計画は、容積率200%の住宅用地となっていますね。
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