中古マンションの買い方・売り方

中古マンション購入の注意点とは?築年数別チェック法と適正価格の見極め方

先日「中古マンションの値引き」について、かなり力を入れて書いたところ、非常に好評でした!

こんな嬉しい評価も頂いてます。

ネットに転がっているノウハウの多くは、新築マンション限定の情報が多いなと改めて思いました。そこで今回は「中古マンション購入の注意点」について書かせていただきます。なお、私自身は、新築も中古マンションも購入経験済みです。

中古マンションの方が諸費用が多くなる

新築マンションと中古マンションは、諸費用がかなり変わります。一番大きな違いは仲介手数料の有無で、住宅本体の3%+6万円がかかります(リノベ売主直接購入など、仲介手数料がかからない場合や満額徴収をしないお店もあります)。そのかわり新築マンションでは修繕積立基金を諸費用として徴収されます。

5,000万円のマンションの場合、中古マンション独自にかかる費用として:

  • 仲介手数料 物件価格3%+6万円+消費税 = 156万円+税
  • 不動産取得税(新築住宅の場合は軽減措置でない場合もあり)
  • 固定資産税の精算分(新築住宅の場合は固定資産税の大きな減免措置あり)

などです。登記費用、司法書士手数料、住宅ローン抵当権設定登記、売買契約書印紙代、住宅ローン事務手数料や保証料、火災保険料などは新築マンションでも同様にかかります。すべて含めて物件価格の6%~7%程度とみておけばいいでしょう。この他に、住宅のリフォーム代金なども見ておいたほうがいいですね。中古マンションは意外とお金がかかります。

逆に新築マンションで独自にかかる大きな諸費用は、修繕積立基金です。毎月払う修繕積立金のだいたい40~120倍(晴海フラッグの事例)を一括で払います。初期設定の修繕積立金が1万円だとしたら40~120万円程度ということですね。

新築マンションの場合は、減免措置や住宅ローン控除などが優遇されていることも多く、中古マンションの方が諸費用はかかります。その代わり、新築マンションよりも広い条件で部屋を探すことができます。

なお、中古マンションにつきもののリフォームの相場などは以下のエントリをご覧ください。リノベーションクラスになるとファミリーマンションで800〜1200万円ほどかかります。

築年数別のマンション管理状態のチェック方法

マンションは長い目で見て適切な管理がされているかが非常に重要です!新築マンションと違って、現在の管理の状態が見られるのは、中古マンションの優位な点でしょう。

すべての築年数

1 ゴミ捨て場:絶対にチェックしましょう。ゴミ捨て場は整然としていますか?荒れていませんか?盗難注意やゴミ出しのルール注意喚起の張り紙が執拗に貼られていませんか?ゴミ捨て場は管理状態を確認するのに最適な場所です。ここが荒れているマンションは適切な管理ができていません。

2 メールコーナー前掲示板:たいていのマンションは、メールコーナーの場所に掲示板があります。毎日住民が通過してかつ立ち止まる場所なので、内部向けのお知らせをする場所に最適だからです。この掲示板に、トラブルや注意喚起の張り紙がしてありませんか?期限を過ぎた掲示物がそのままになっていませんか?掲示板の内容はマンション内の治安を示しています。

3 駐輪場:管理ができていないマンションは駐輪場が間違いなく荒れます。放置された自転車が脇に山積みになっていませんか(まぁ放置自転車をきちんと分けている段階で管理がされているとも言えますが…)?きちんと枠線の中に止められていますか?駐輪場はゴミ捨て場と同じくらいマンションの民度が出る場所です。ただ、割れ窓理論と同じで、他の自転車がきちんと止めてあれば他の住民も止めるものです。管理人を駐輪場に派遣して随時チェック・整頓しているかが見て取れます。

4 植栽:植栽はきちんと生えそろっていますか?生垣がきちんと生垣として機能している状態ですか?ハゲたままのみすぼらしい状態のまま放置されていないでしょうか?植栽はなにかとお金がかかるものです。マンションによっては住民有志で季節の花の植え替えをおこなっているところもあります。手入れされた植栽はマンションを美しく見せてくれますので、資産価値にも好影響を与えます。

~10年目まで

修繕積立金の値上げはきちんと行われていますか?入居後5年くらいはファミリータイプで数千円レベルのままでも良いと考えますが、10年目でも入居当初と同じような修繕積立金のままですと、理事会がマンションの将来に対して適切な意思決定をできていない証拠となります。築10年程度では管理は適当に行なわれていてもさほど目立たないものです。

~20数年目まで

12年~15年目で一度目の大規模修繕を行う時期がやってきています。きちんと修繕されているでしょうか?また、1回目の大規模修繕は、販売初期に集める基金やそもそもお金がかかるような大工事をしないことから、修繕積立金を増額しなくても乗り切れるものです。しかし、2回目、3回目の大規模修繕となると特殊な要因、たとえば1Fで駐車場経営しているとか自走式駐車場の収入がかなり入ってくる等、そういった要因が無い限り修繕積立金を入居当初の数倍に値上げしていないと、乗り切ることができません。

人は若いころは適切なメンテナンスをしなくても若さだけで乗り切れてしまうものです。しかし中年になると、体や顔に気を使ってきたかが如実に表れてきます。もし20年経ってもまったく修繕を行っておらず、外壁が汚いままなら、築年数以上に古びて見えるはずです。そのようなマンションは「健康に全く気を使わない人」と同じ状態で、長年の伴侶とするには相応しくないでしょう。

20数年後~

このあたりになると「同じような築年数に比べて立派に見えるか」「きちんとした整備・管理がなされているか」というのは一目瞭然でわかるようになります。誰もが美魔女になれるわけがなく、若いころからの不断の努力が中年を超えたところで実を結ぶのです。

ヴィンテージマンションと言われる築古の高級マンションを見ると、新しい・古いを超越して、マンションそのものの風格や凛とし佇まいを感じられるようになります。旧耐震の場合は、耐震診断がされているかチェックください。1Fが駐車場になっているピロティ構造のマンションは特に気を付けてください。

適正な相場価格かの確認方法

レインズマーケットインフォメーションで自力で調べることもできますが、見学物件が決まっているのなら仲介マンに、

  • このマンション自体の直近2年間の成約事例
  • 近隣マンションの直近1~2年間の成約事例

を聞いてみることにしましょう。彼らはレインズで直接の成約事例を調べることができます。間取りと価格を拝見できます。それと比べて割高か割安かはだいたいわかるはずです。実需マンションの世界は、取引事例比較法がメインです。成約には一定のトレンドがありますが、直近で「こちらのマンション/同エリアを、この価格で買う人がいた」という情報がわかれば心強いものです。

レインズマーケットインフォメーションでの調べ方ですが:
マンションであれば、都道府県と地域を選びます。

成約価格を元にした不動産取引情報サイト REINS

その後地域詳細や沿線、最寄り駅、駅からの距離、築年数といった追加検索条件を設定すればお目当てのエリアやマンションはだいたい割り出すことができます。専有面積は20平米単位でぼかされていますが、平米単価はきちんとでていますから、自分である程度検討を付けることができます。

例えば、墨田区錦糸町駅の徒歩10分以内の成約事例を調べた結果です。こうして、築年数と平米単価でプロットできますので、非常に便利です。築年数が下がるほど平米単価は安くなりますが、2000年を下回ったあたりで単価の値下がりは緩やかになることがわかります。これは、築古のマンションの方が駅からの距離など立地面では優れた場所が多いことも関係しているのですが…

管理に係る重要調査報告書で管理状態とルールを把握

物件を扱う仲介さんに依頼すると、契約の前に管理に重要調査報告書をみせていただけます。

この書類では、マンション全体の情報と、売りに出ている住戸の情報が見られます。

もし売りに出ている住戸が滞納しているのであれば、買い主が払うのが原則です。滞納されている住戸はあまり見かけないと思うのですが、持ち主が滞納されていると決済日がずれると毎月増えていくので注意しましょう。このあたりは交渉して売却額と調整できるかもしれません。

こちらでは、マンション全体の滞納額もこちらで確認できます。事例にあげたこのマンションは、規模の割にとても優秀ですね…

滞納額は毎月の全体徴収額の0.5%を越えない程度が優秀と言われています。

重要調査報告書では、この他に修繕工事の実施履歴やマンション全体のルール、駐車場の空き状況、ペットの飼育制限などが記載されています。この中で最重要なのは、修繕積立金の貯まり具合ですね。

金額そのものではなく、戸あたりに換算した金額を電卓で出してください。大規模修繕はマンションの規模にもよりますが、1回目(12〜15年め?)の工事で1戸あたり150万円程度かかると言われています(タワーマンションはもう少しかかる場合もあります)。大規模修繕の2回め、3回めになると設備更新も含まれますので、更にかかるでしょう。マンション全体で築年数に対して適正な貯金ができているか。これは、現状の修繕積立金にもよりますが、過去きちんと真面目に徴収してきたのかが問われます。

 

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