アベノミクスの開始以降、大胆な金融緩和は最終的にマイナス金利までの段階に達しました。
当然この効果は住宅ローンにも現れています。私がブログを始めた頃のフラット35金利が2.5%程度。もっと遡って、はじめての家族で住むマンション購入を考えていたころは3%でした。いまや1%を切る金利になっていることを考えればたった数年で隔世の感がありますね。
金利3%と1%の差は想像以上に大きくなります、なぜなら額が大きく、期間も長いからです。住宅購入で3000万円の住宅ローンを借りるのは普通ですが、かかる利子は、年間90万円(3%)と30万円(1%)、4000万円になると120万円(月10万円!)と40万円の差ですから毎月の支払額は当然大きく変わってくるのです*1。
やった、これで毎月の支払いが安く済む!・・・というわけには当然いかないのです。
誰もが自由に土地を購入できる自由競争経済の下では、各マンションデベロッパーが土地の仕入れを行います。彼らは、勤労者が毎月支払うローン金額の方を見たうえで、建設費や自社の利益率を足し合わせて土地の入札に参加します。つまり、住宅ローン金利が下がれば、その分マンション適地の値段を上がるのです。
近年のマンションは駐車場付帯率を削っています。これは、日本人がより環境思考になったというよりも、新築マンション価格が上昇したので車にかかる支出を住宅ローンの支払いに回さないと成り立たない。ですので駐車場を増やしても、その後購入者にとって負の資産(機械式駐車場はメンテ費がかかります)になりかねないので、最初から付帯率を下げているのです。
金利低下の果実は、いま持たざるものではなく既に持っているものにより濃く配分されます。上記メカニズムでいえば、土地を持っている大地主や既に仕入れを済ませていたデベロッパーに多く恩恵があります。個人にはほとんど恩恵がありませんが、住宅ローンを既に組んでいた人は、借り換えをすることによってこの恩恵に若干預かることができます。
物件価格の高騰がいつ終わるのか、私にはわかりません。
住宅は極めて個人的な事情から購入を検討するものなので、買い時ではないとためらっていても家族の事情がそれを許さない場合が多いからです。
一つアドバイスするとしたら、いまから住宅ローンを組む人は、変動金利はやめておいたほうがいいでしょう。いま変動と固定の差は限りなく少なくなっていますが、金利の低下は人為的に引き起こされているので、どこかで急上昇するリスクがあると考えます、毎月の支払額が数千円変わりますが、保険に入るようなものです。この保険料は数年前まで、月数万円で売られていた商品だったのです。
*1 といっても、当時3%を超える水準の全期間固定金利で借りる人は、自営業の方以外あまりいませんでした。
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